和をたしなむ

2018.02.16更新 - 女将の着姿

女将の着姿。「お悔やみの席に向かう着物姿」

 

二月に入り、お悔やみの席に関してのお問合わせが続いています。

 

時節柄という事もあるかと思いますが、

HPやブログから、頼りにして頂けるご新規の方が多く、

着物屋として嬉しくも、しっかりとした見解を示さなければという、

責任感も感じています。

 

基本、それぞれの状況をしっかりとお聴きした上で、

当店の見解をお話しさせて頂きました。

 

 

そして、

いつもはハレの席や気軽な着姿を、

ご紹介していた女将の着姿。

 

華やかなものではないので、どうするのか悩んでもいましたが、

着物屋としての見解を示すであろう「いずれの時には」と、

昨年撮っていた「お通夜に向かう着姿」を、今日はご紹介したいと思います。

 

 

唐花の地模様がある深紫色の色無地に灰黒の織九寸名古屋帯、

帯〆は白黒の平組の物に、帯揚げは黒の物を合わせていました。

 

 

「お通夜の着物」というと、

色無地に黒共(黒喪)帯の組み合わせ」という姿が、

定番の一つになっていますが、

ここ何年かの間に、何回かお通夜に伺い、その姿を拝見していると、

帯の黒が強く、どんな色の色無地を合わせても、

帯が浮いて見える印象を感じていました。

 

何気ない事ですが、黒紋付き(喪服)の「黒」の力は絶大で、

それに合わせるために織り上げた漆黒の黒共帯も、同じく力強いもの。

 

「黒共は喪服専用の帯なんだ。」と、

当たり前の事ですが、自分ながらに感じていました。

 

 

お悔やみは、あくまでも「気持ち」が大切。

 

黒の取り合わせや力強さなど、

それに比べればどうでも良い事かも知れませんが、

恐らく、このブログをご覧の皆さまは、着物に関心があり、想いがあり、

 

「着物を着る時はベストで在りたい。」

 

と思われている方が多いはず。

 

 

そうした方には是非、

お通夜用の帯を一本持たれる事をおすすめしています。

 

 

お通夜に向く帯は、写真の女将が結んでいる様なものから、

灰色に模様が織り込まれたものや、黒色の塩瀬九寸などがあります。

 

 

女将が結んでいるものは、洛風林さんの九寸。

蔓に鳥の柄が織り込まれたものです。

 

灰黒の濃淡で織り上げてあり、あくまでも法事用のものですが、

色のメリハリと織の表情があるもので、

法事らしい落ち着いた雰囲気と、黒共にはない風情があります。

 

 

帯〆と帯揚げはこちら。

 

 

帯〆は白黒の織り分けのもの。

多分、渡敬さんのものだと思います。

 

帯揚げは黒のもの。

こちらは喪服用のものを使っていますが、全体に「黒」を使わないコーデなので、

ここだけ喪としての凛とした雰囲気を感じる事が出来ます。

 

 

この様な雰囲気で、いつも法事やお通夜に向かう女将。

 

礼式や礼服への価値観や、それ以外の価値観そのものが変わり、

「喪服が当たり前」だった時代はもう過去のものだと、私は思っています。

 

このコラムでも何度か書いていますが、

礼装の着物は「相手を想う衣装」であり、

 

喪の席に限れば、故人と本人との関係やその想いにより、

袖を通す着物や心持ちも変わり、

もしかしたら、着物が当たり前の方にとっても、

着物よりも洋服の方が相応しい事も、いくらでもあり得る事だと思います。

 

 

なので、「これが正解!」というものは無く、

着物屋としての見解を示すことが出来ず、申し訳ない部分もあるのですが、

故人とのお別れのひとときが、それぞれの皆さまにとって、

衣装と共に想いを伝える、かけがえのないひとときに成ります様に。

 

 

それでもご不安の時は、精一杯相談に乗らせて頂きますので、

どうぞお気軽にお問い合わせ下さいませ。

 

 

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