和をたしなむ

2017.05.12更新 - 徒然なるままに

有松・鳴海絞を誂える。

 

 

毎年、季節の変わり目になると、その季節にあった着物を選び、

手持ちのものを仕立て変えたり、新しい反物を誂えたりします。

 

私は着物がファッションの選択肢のひとつだと思っていますし、

だからこそ、着物屋のひとりとして、値段の高下を問わず、

自分に合ったものや、スタイルに合ったもの一反を選びたいというもの。

 

いつも色々と楽しみながら悩み、そんな一着を選んでいます♪

 

今夏の準備も、ほぼ完了。

 

今年は、愛知県の問屋さまが持って来て下さった、

有松・鳴海絞」を、自分のために誂える事にしました。

 

 

有松絞は、愛知県のお住いの方はもちろんのこと、

多くの着物ファンや、絞りフリーク憧れの一品。

 

私的には有松絞単体よりも、

産地を総称する「有松・鳴海絞」の名がしっくりときます。

 

江戸時代に、東海道筋にある「鳴海宿」のお土産として、

絞りの手拭いが大人気を博したことから始まった、この絞り。

 

戦後の高度経済成長期には、呉服の需要拡大と共に生産も拡大。

 

大変に手間のかかる「括り」の仕事を海外へと移行したことが、

良い意味でも悪い意味でも大きな転換期ではないかと、私は思います。

 

良い意味でいうと、

日本よりも安価な値段で括る事が出来た事により、

より多くの方が絞りの良さを味わう事が出来た事。

 

悪い意味でいうと、

最も重要であり技術の伝承が難しい「括り」の技術を、

産地に根付かせることを放棄してしまった事だと思います。

 

あくまでも結果論なので、

どちらが正しいという事は決める事が出来ず、

今の現状を受け止めるしか術はないのですが、

 

最近の産地の動きとして、

私がとても前向きに応援をしたくなる事は、

絞りを志した若い世代が地元に根付き始めた事、

 

大きな産地問屋さまが、その動きに反応し、

再度地元での生産に、心を向け始めたことにあります。

 

確かな技術のある「括り手」の超高齢化が進み、

もしかしたら、技術が伝承されるのは、

今が最後のチャンスかもしれないと思うと、

 

自分たちの風呂敷の広さでしかありませんが、

着物に携わり、布に携わるひとりとして、

そうした動きを見守りつつ、応援していきたいと思っています。

 

今回、私が誂える事にした反物も、

そうした「地元」で括りから染色をしたもの。

 

生地感も、今までのものと違い、

大分、しっかりとしたものになっていました。

 

横段の絞り柄をどう合わせていくか、

 

女将と二人、侃侃諤諤の協議♪

 

 

仕立て上がりを想像しながら、反物に向かい、合わせていく作業は、

着物らしい楽しみ方・誂えものの楽しみ方のひとつ。

 

袖を通す事を考える事が愛おしく、待ち遠しく思います。

 

今回は、実験的な要素も含め、私の個人用のみの取り扱いですが、

ゆくゆくは、当店でも取扱いたいと考えています。

 

 

自分で誂えてみて感じたことを率直に伝え、

同じく「本場有松鳴海絞」をお待ちの皆さまと共に、

 

一着ずつ誂える事で地元の産業を応援することが出来れば、

 

そして何より、

 

絞りのファッション性を、自由な心で楽しめればと思います。

 

仕立て上がりをお楽しみに♪

 

 

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