和をたしなむ

2019.06.12更新 - 徒然なるままに

きものの未来。

 

絽の白生地を仕入れしました。

 

 

白生地?!

 

はい、色も柄も染めていない白生地。

 

それも来年用のものです。

 

 

今夏、皆さまにご紹介する前に行先が決まった、

絽の附下に使われていたものと同じ生地で、

写真では伝わりにくいのですが、変わり絽の雰囲気や生地の質感が良く、

 

 

それに染め付けしてあった色柄と共に生地に惚れて仕入れをした、

そんな一反の附下でした。

 

 

その様な事を、

その附下を制作された問屋さんと月末にお話しをしていたところに、

絽生地の一大産地である、新潟県「五泉」の織元さんが二社、

本年限りで廃業をされる事実を知りました。

 

居ても経ってもいられなくなり、

取り急ぎ、お気に入りの生地だけでも押さえようと、

この絽の生地を仕入る事を決めました。

 

 

それと同時期、

古くから懇意にしている織元さんにお願いをしている御召生地が、

何か月経ってもなかなか織り上がらないので、問屋さんに事情を聞いてみたら、

織元さんが思っている糸づくりが出来ず、反物を織り上げる事が叶わないとの事。

 

それでも苦心をして何とか織り上げて下さった一反を、

仕入させて頂きました。

 

 

5年ほど前から、産地の疲弊はよく話にのぼる事で、

 

いずれ、ものつくりが立ち行かなくなる。

 

という事が散々言われてきましたが、

その悲しくも確かな現実がとうとうやって来たと、

私は実感しています。

 

 

聞くところによると、産地の皆さまが廃業される理由は様々。

 

 

ただ今回、色々と聞いていて遣る瀬無い気持ちにさせられたのは、

 

未来が見えない。

 

という理由で廃業をされる、若手の後継者の方が多いということです。

 

 

私自身も、燦然と輝く明るい未来が見えて家業を継ぎ、

こうして日々、商いさせて頂いている訳ではありませんが、

各産地が後継者不足や高齢化が大きな問題となっているなか、

その産地の期待を背負った若手の皆さまが止めざるおえない現状が在る事が、

最もショッキングな事実。

 

でもそれが今、各産地が直面している現状なのだと感じています。

 

 

では、その辛い現状を打破するためには何をしたら良いのか?

 

 

そんなこと、

すぐに答えが出るのであれば、みんな苦労はしないのですが、、、

 

今、私の立場で出来る事は、

 

自身の出来る範囲で仕入れをし、お客さまにご提案をしていく。

 

そこに尽きると思っています。

 

 

物が持つ力」は偉大で、手仕事であれ、機械仕事であれ、

心を込めて作られた「物」には、共感する人の心を惹きつける力があります。

 

今までも、私が自分で見分け、仕入れをして来た一品たちの多くは、

そうした力を持っては、共感頂け、

ご来店のお客さまに限らず、このHPを通しても多くのご縁が繋がり、

その輪が少しずつ、広がっていると感じています。

 

 

一点ずつ仕入れをしては、一点ずつお見分け頂き。

 

願わくば、次の時にはその一点が二点となり、

産地の皆さまに少しでも多く、お仕事が回っていきます様に。

 

 

きものの未来が、少しでも明るく、前向きなものになります様に。

 

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