和をたしなむ

2019.01.12更新 - 徒然なるままに

想いを引き継ぐ、振袖の在るべき姿。

 

成人の日が近づいてきました。

 

成人の日を迎えられる皆さま、

また、その時を共にされる皆さま、

 

誠におめでとうございます!

 

心からお祝いを申し上げます。

 

 

当店はご覧のとおり、主だって振袖を扱っておらず、

それでも、きもの美濃幸らしい振袖を見立てて欲しいというお客様に恵まれ、

そうした皆さまにご覧頂ける一品を、少しずつですがご用意をしています。

 

また最近は、「ママ振袖」という言葉が流行の様ですが、

当店でも祖父の代にお見立てしましたお母様の振袖をお嬢様へと、

見立て替えをするお仕事を頂く事も多く、

解き洗い張りをして、裏地も交換し、寸法も直して、

お嬢様のハレの時を祝う一着へとさせて頂いております。

 

 

下の振袖も、そんな一着。

 

 

本来振袖は、その家を代表する衣裳であり、

とても贅沢なものでした。

 

娘に誂えてあげられる事は稀な事で、

ましてや、娘ひとりひとりに誂える事は大変なこと。

 

「娘三人いれば家が傾く。」とまで言われるほどのものでした。

 

 

だからこそ、一着の振袖を大事に受け継ぎ、

姉妹へ、そして子へと、譲っていくものだと、私は思っています。

 

 

この振袖は、そんな想いと共に、

祖父の代の頃にお母様が成人を迎える際に誂えたもの。

 

染屋さんの柄見本を基に、色柄を決め、

お母様(当時お嬢様)の寸法に合わせて柄付けを決めてあります。

 

そのため、縫い込みの部分が柄が入っておらず、

手抜きの様に見えるかも知れませんが、これが誂え品の証。

 

写真の白地の部分は、白生地のままの部分になります。

 

 

時代でしょうか、きちんと抜きの三つ紋が入れられ、

先に書いた通り、「家の衣裳」としての役割を果たして欲しい想いが、

この一着に込められています。

 

 

祖父が見立てたものを、孫の私が見立て直しをする。

 

ご家族様が想いを引き継ぎ、当店の事を頼って頂ける事に心から感謝をすると共に、

そうした商いをしてきた祖父の事も大変誇らしく感じます。

 

 

 

「ママ振袖」等と、新しいものを買わずに着まわす事や、

レンタルをしないで在るものを使う事の流行り言葉の様ですが、

それが本来の在るべき振袖の姿のひとつ。

 

お金も時間も、何でもコストに換算してしまいがちの現代にとっては、

もう一度思い返すべき、大切な事の様に思えます。

 

 

もし皆さまのお宅に家に、そうしたコストを度外視した、

想いを共にするに相応しい一着が在りましたら、

ぜひ、それぞれの想いを受け継ぎ、袖を通してもらえたら、

着物屋としても嬉しい限りです。

 

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