和をたしなむ

2018.01.17更新 - 訪問着

一色に作り手の心を感じる。「小倉淳史 訪問着「流水取りに兎・葵・露芝・辻が花」」

 

着物屋の楽しさは、

その季節ごと、四季折々に合わせて、自分の店らしい一品を選び、掛け、

その想いを共にして下さる、お客様に恵まれることにあります。

 

当店も自分たちの出来る範囲ないですが、

好みの物を一点ずつ選び、仕入れをして、店に置くように心がけています。

 

 

今日ご紹介する一品は、昨年11月の問屋さんの展示会の際、

年の始まりは、この一品と共に在りたい。

と想い、見分けた一品。

 

ご来店の方のみならず、HPのコラムをご覧下さっている皆さまにも、

ぜひ楽しみながら、ご評価頂けたらと思います。

 

 

小倉淳史作 訪問着 「流水取りに兎・葵・露芝・辻が花」

 

130年以上も続く名家に生まれ、

一心、物作りに励まれておられる染織作家、

私の大好きな染色家、「小倉淳史」氏の一品です。

 

当店は、いわゆる「作家物」が好みではなく、

名の有る無しに関わらず、自分たちの心に響く一品を求めて、

着物屋をしています。

 

「この作家さんの物はよく売れますよ!」、なーんて人に言われると、

むしろ仕入れをしたくなくなるという、何とも天邪鬼ぶり。

 

まだまだ未熟ではありますが、

きちんとした「観る目」を養いたいと、日々思っています。

 

なので、ブログでご紹介する際も、名前ありきなご紹介はしたくないのですが、

小倉先生の作品に関しては、「小倉先生の感性」にこそ物の魅力が在るので、

是非とも一人でも多くの方に、その名を知って頂きたく名前を書くようにしています。

 

 

昨年も、小倉さんの名古屋帯を仕入れさせて頂き、

その想いをこちらにも書き記したので、

その時書いた事は割愛させて頂く事にして、

「その時書いた事」の詳しくはこちら美意識の極みの世界を。

 

今日のブログでは、もう一つの私が惚れる魅力、

一色(ひといろ)の力」を書いてみたいと思います。

 

 

昨年の11月に小倉先生とお逢いして、少しお話しさせて頂く機会があった時、

「色」の事について質問をさせて頂きました。

 

私が想う、小倉淳史の魅力は「一色」にあって、

地色であり、柄の彩色であり、色の面積を問わず、

それぞれの作品に「一色」ずつ、そのものの個性を感じる色が挿されています。

 

この訪問着の場合は、上の写真でも、下の写真でも分かります、

「葵の葉」に挿されたコバルトブルー。

 

 

先にも書いた通り、130年以上も続く染織の名家の作品にあって、

いわゆる「古典」に分けられるであろう作品としては、

あまり見かける事のない、「洋」を感じさせる色なのですが、

この一色を挿すことが出来る事が、私が想う小倉淳史の魅力。

 

「どうしてこの色が挿せるのですが?」

 

と、

全くもって野暮な質問をしましたが、先生は真剣に答えを探して下さり、

 

美意識のアンテナ

 

の事を教えて下さいました。

 

 洋の東西を問わず、自分が美しいと思えるものに触れ、

 それに対してのアンテナを常に張り続けること。

 

感性とは、そうした環境の中で磨かれ、

その心から産み落とされる「一色」に染色家の想いが込められていくのだと、

改めて感じるお言葉とひとときでした。

 

 

ちなみに、前柄から後身頃にかけて、

小気味よく、また愛らしく跳ね回っている兎の柄は、私の干支。

 

何枚か掛けてある新作の中で、縁を感じる一枚だったので、

有無も言わず、仕入れをさせて頂きました。

 

 

小倉先生にしては、かなり軽めの柄付けですが、

それでも先のも書いた通り、細部まで色へのこだわりがある仕事なので、

帯次第で着姿を軽くも重くも出来る、物の良さがあります。

 

横に置きました、美術工芸啓(ひらく)さんの、

しっかりとした袋帯を合わせれば、

礼装の品格を持ってお召し頂く事も出来ますし、

品格がある軽めの名古屋帯を合わせれば、

一重太鼓の後姿が、品良くまとまる事でしょう。

 

 

大好きな一品と出会い、その一品を仕入れ、

ご覧頂ける事の幸せを感じながら。

 

染色の逸品を、ご来店・ご覧の皆さまに、

気軽に楽しみ、触れて頂けたら、何よりのことです。

 

 

掲載商品詳細

小倉淳史 辻が花訪問着 「流水取りに兎・葵・露芝・辻が花」

価格はお問い合わせ下さいませ。

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