和をたしなむ

2018.02.21更新 - ワークショップ

自宅で出来る「衿拭き」と「袖口拭き」のポイント。~悉皆屋さんトーク&実演イベントから~

 

18日に開催しましたトーク&実演イベント、「悉皆屋さんのお仕事」の中で、

皆さまにも実際に自宅で行って頂ける、「衿拭き」や「袖口拭き」をまとめてみました。

 

 

写真と文章なので、すべてが伝わるかは分かりませんが、

すべて自己責任という事をご理解の上、興味のある方はお試しくださいませ。

 

 

まず、衿拭きに必要な道具は、

 

1、ベンジンもしくはベンジン系の溶剤 (薬局で400円程で販売しています。)

 

2、タオル(衿拭き用の小サイズと、下敷き用の大サイズ)

 

3、ガラス板(あればベスト。下に敷くと溶剤で机などを傷めません。)

 

この3点。

 

教室に参加して頂いた方は、これに加えて「家庭用の歯ブラシ」も使いましたが、

歯ブラシに関しては、直接講義をお聴き頂いた方にしか伝わりにくいニュアンス的なものがあり、

本項では使わない事で話を進めていきます。

 

あとは強いて言えば、

 

★ やってみようと思う「好奇心」と「度胸」 ★

 

これ、結構大事です!!(もしかして一番大事かも笑)

 

 

必ず注意して欲しい事は、

 

換気の出来る場所で作業をする事!!

 

使用するベンジンは、人体に良い影響を及ぼす物ではないので、

風通しの良い部屋で作業をする事、

そして、下に溜まりやすい性質があるので、

お子様、ペットなどと一緒に作業をしない。」という事を心掛け下さい。

 

 

衿拭き・袖口拭き、裾拭きなどを綺麗にするポイントは、

 

 1、ベンジンをケチらず、沢山使う事。

 2、広く、全体的に拭く事を意識して作業をする事。

 3、ドライヤーは必ず冷風を使う事。

 4、乾かす際は、外から中に乾かす様にする事。

 

の4点が挙げられます。

 

この4点を行う理由は、

失敗する事が多い「輪ジミ」を防ぐのに有効なポイントになります。

 

輪ジミは、あとで自分で直そうと思うと、

結構な手間が掛かってしまうので出来ない様に心がける事、

もし出来てしまい、自分で直せ無さそうな場合は、

決して無理はせずに、専門の悉皆屋さんにお願いして下さい。

 

 

では、順番に説明をしていきます。

 

まず最初、

 1、ベンジンはケチらず、沢山使う事。

ですが、慣れない方がする時、

一番の失敗する(輪ジミをつくる)原因はここにあります。

 

衿拭きをする際は、下の写真の様に衿をお腹ではさみ生地を張り、

 

 

これくらい、生地がしっかりと湿るまでベンジンを使います。

 

名古屋市中村区きもの屋3代目若だんなの徒然日記

 

あとで調べてみると、今回の衿拭きのみの実習で、

一人約100mlのベンジンを使用しました。

 

衿を拭くだけでも、それくらいは使うのだと、

目安にしてもらえればと思います。

 

 

そして、

 2、広く、全体的に拭く作業をする事。

 

これも上の写真でご覧いただける様に、

衿を拭く場合、「掛け衿全体を一度に拭く」という事を意識しながら行って下さい。

 

小さく、細々と拭いていると、

それも輪ジミを作る原因となりますので要注意ポイントです!

 

 

 3、ドライヤーは必ず冷風を使う事。

については、使用する溶剤「ベンジン」は揮発性の高い薬品になります。

 

温風ドライヤーの様な熱線に触れると一気に火が立ち上りますので、

必ず冷風を使って乾かす様にして下さい。

 

 

最後、

 4、乾かす際は、外から中に乾かす事。

 

下の写真の様に、

 

名古屋市中村区きもの屋3代目若だんなの徒然日記

 

外側から内側に向かって、冷風をかけて乾かしていきます。

これも、輪ジミを作らない為の、大切なポイント。

中心に向かって、ドライヤーをかける事を意識して下さい。

 

また、縫い目にはベンジンが溜まりやすいので、

念入りにドライヤーを掛ける事を心掛けて下さい。

 

名古屋市中村区きもの屋3代目若だんなの徒然日記

 

裏側も忘れずに。

 

男物の様なバチ衿の場合は、

剣先や前身頃との縫い目からドライヤーの風を送ると、

衿の重なった部分の乾燥が早く済みます。

 

名古屋市中村区きもの屋3代目若だんなの徒然日記

 

以上が、自宅で衿を拭く時のポイントになります。

一度慣れてしまうと、結構簡単に出来る事が分かります。

 

ただ、初めてする時、最初の一枚は緊張すると思いますので、

実験的にする事が許される着物で行うと要領が分かるかも知れません♪

 

 

日ごろのお手入れが自分で出来ると、

きものを着る機会や幅が一気に広がります。

 

そして何より、自分の着物に対する愛着感や、

着ること自体を大切にする想いが、もっともっと、深まるはず。

 

そこに若だんなが思う、

普段からきものを着る楽しさ」のひとつがあります。

 

皆様も、機会がありましたら、一度お試し下さい。

 

(※写真は3年前のものを使用し、文章を一部修正してお届けしました。)

 

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