きもの屋の小学校卒業式での装い。「卒業生息子編」
過日、
息子が6年間お世話になった小学校を卒業しました。
あっという間の6年間。
彼らの年代は2年生からコロナ禍の影響をもろに受けて、
数か月の登校停止や、それに伴うリモート学習の開始、
4年生頃から段々とそれらが緩和されていき、
5年生の野外学習や6年生の修学旅行も無事に行くことが出来たなどと、
起伏に富んだ貴重な6年間を過ごし、
そのなかで色々と感じ、色々と学んだ事と親の目線から感じています。
そんな思い出深い6年間の集大成である卒業式。
きもの屋としてどの様な衣装で出席したのか、
商売柄、家族全員和装での出席となりましたので、
一人一人の装いを順番にご紹介したいと思います。
本日は主役の息子くんから。
この様な着姿で向かいました。
ハレの場で身に着けた着物一式は、
きもの美濃幸創業者であり私の祖父が着ていたもの。
30年以上も前に他界をしているので、
12歳の彼からすると写真でしか見たことのない曾祖父になるのですが、
不思議と寸法がぴたりと合い(袴丈は若干短かったです)、
そのまま誂えの様に着てもらう事にしました。
当時の呉服業界の隆盛を感じる生地感の良い紺鼠色の上代御召のアンサンブルに、
同じく薄茶色の御召生地の細縞袴を着けました。
彼はこの会では主役のひとりとなるので、
第一礼装である黒紋付も視野に入っていたのですが、
こちらの方が現代の小学校卒業式には向くだろうという考えと、
また何より彼に似合う色目だったので選びました。
衿は正式には白衿となりますが、
ここも私なりの解釈を取り入れ、
生成り色の半衿を付けました。
この色の取り合わせと雰囲気に、
衿だけ最礼装にしてしまうとそこだけが浮いてしまうので、
長着の色目、そして袴の色目との取り合わせが良い色を選びました。
羽織紐は私のものを貸してあげることに。
これも半衿同様、
全体の着姿と色目を考えて濃紫色のものを選びました。
足元は雪駄が一番ですが、
こちらも私の愛用品の草履を貸すことに。
礼装感とともに、少しカジュアル感というか洋装感を感じる、
そんな羽織袴姿を作ることを意識しての組み合わせとなりました。
厳かな気持ちを表す装いと、自分らしさを表す装い。
装う楽しみを感じるためには、
どちらも大切な要素となります。
ともに卒業する仲間と溶け込み、
またひとつひとつの衣装に意味を持たせながら、
確かな一歩を踏み出していく下支えとなる衣装となれば何よりも嬉しいこと。
門出に相応しい、そして彼らしい着姿になったのではと思っています。
最後は祖父母と記念撮影。
この着物に袖を通してくれて一番嬉しかったのは、
この二人かもしれないと思う、卒業式に一日でした。
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