和をたしなむ

2024.05.15更新 - コーディネート紹介

はじめての誂え紬の着心地を。「お客様コーディネート紹介」

 

今日はお客様の着姿をご紹介します。

 

快諾をいただいてご紹介しておりますので、

どうぞ楽しみにご覧下さいませ。

 

 

 

 

飯田紬の袷をお召しくださった着姿。

 

 

「暑い~!!」

 

と言い、汗をかきながらご来店くださいました(笑)

 

 

 

先日お納めをした一着なのですが、

私がどうしてもその着姿を直に拝見したかったので、

単衣も越して夏衣でも良い、GW明けの天候のなか、

無理をしてお越し下さったという訳です。

 

 

飯田紬は手紡の真綿紬なので、

袷の中でも保温性が高い布。

 

夕暮れ時でしたが、きっと暑かった事でしょう!

 

 

ありがとうございました!!

 

 

この一着、

 

お客様にとってはじめての誂え紬となりました。

 

 

 

 

ご縁をいただいてから、色々とお話しをしているなかで、

「いつかは、ながく愛用出来る様な無地系の紬が欲しい。」

とのお声を聴かせていただき、

 

お客様のご要望もお聴きしながら、

 

手織りが良いのか、織機織りでも良いのか、

草木染が良いのか、そうでなくとも良いのか、

真綿系が良いのか、それ以外の方が良いのか、

 

などなど、

実際に当店の手持ちの紬や、当店開催の個展でお品をご覧いただきながら、

「誂えるのであれば、この飯田紬が良いよね!」

という結論に双方いたり、ご注文をいただける事なりました。

 

 

飯田紬の生地特性を考えてご寸法も改めて相談をしながら、

八掛の色目も吟味を重ね、

お客様らしく、馴染みの良い色を付ける事が出来ました。

 

 

 

 

はじめての誂え紬。

 

自分にとってのそれは、白大島でした。

 

 

確か27歳頃の事。

 

当時お世話になった先輩から、

「白大島の男物はなかなか出回らないから、気に入ったから買っておきなさい。」

と言われて誂えたのがきっかけでした。

 

 

確かにそのとおりで、

その白大島を着ているとどこでも褒められ、

また自画自賛ですがとても自分らしく似合い、

 

汚れて、八掛が擦り切れては、解いて洗い張りをし、

何度も何度も仕立て替えをした、最高にお気に入りの一着となりました。

 

 

生地も弱ってきているので、最近は出番は少なくなり、

今は解いて洗い張りをし終えた反物の状態で保管中。

 

 

でも白大島に初めて袖を通した時の晴れやかな気持ちや、

少し背伸びをして気恥ずかしかった心地などは、

今も良く記憶のなかに残っています。

 

 

お客様お一人ごと、そうした目に見えない大切なエピソードが在ります。

 

 

この飯田紬もきっとそんな着手の想いと共に、

長く永く愛され続けていく事と思いますし、

ご提案した責任として、これからもその行き先を陰ながら見届けていけたら、

きもの専門店としては何よりも嬉しい事と思っています。

 

 

「あと50年くらいは着れるかな?」

 

とのお客様のお言葉に、

 

「貴女はおばあちゃんだけど、私は草葉の陰だよ(笑)」

 

との返し。

 

 

それぐらい長い月日をともにしてくれる一着になってくれればと、

そして、この方のもとであればそれもきっと叶うはずと、

お客様の着姿を拝見して思いました。

 

 

 

Kさま、誠にありがとうございました。

 

 

 

 

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