和をたしなむ

2026.04.22更新 - 徒然なるままに

ものづくりの神髄を、誂え附下の作業現場から。~その2 下絵を基に細部にこだわる~

 

私がコラムなどで書き記す文章にはよく、

 

「美濃幸好み」

 

という言葉が登場します。

 

 

 

きもの美濃幸らしいもの、自分自身が好みのものが、

ご覧下さる皆さまに端的に伝わる言葉として重宝に使っていますが、

これはただ単に今在る商品のなかから好きなものを選んだだけではなく、

好みのものを創り上げていく事に本意と願望があり、

そのものづくりの真髄をご縁あった皆さまにお楽しみいただきたいと考えています。

 

 

 

ものが溢れている現代。

 

 

ものづくりが厳しい和装業界にあっても、

これだけSNSが発達していると個店の個性は表しにくく、

出来るだけきもの美濃幸の事を知っていただきたいという想いから、

自分が気に入り、自信をもってお勧めしたい一品を、

日々制作しております。

 

 

 

今日は私が日々行っている作業現場をご紹介するなかから、

どの様に美濃幸好みを創り上げているのかを知ってもらえたらと思っています。

 

 

 

前回、2か月前に、

その1 アウトラインを作り込む~と題して、

別誂えを始める第一段階を解説いたしました。

 

詳しくはこちら

その1 アウトラインを作り込む

 

 

その際には土台となる附下生地を基に、

地色や柄付けのバランスを考えていきました。

 

 

そのアイデアを、

今回の仕事をお願いしている染の川勝さんに持ち帰ってもらい、

 

それをもっと現実的にものづくりを詰めていく、

下絵を基に柄配置や大きさ、配色のバランスを決めていく作業に移ります。

 

 

 

川勝さんには、

基になる附下の図案を持ってきてもらいました。

 

 

 

 

図案はどの着物や帯を作る際にも制作され、

これを基に染場や織場などの職人さんたちが指定された大きさや色を選び、

製品を創り上げていく訳ですが、

 

今回は糸目友禅の下絵とあって、

紙に鉛筆描きのものですがかなり細部まで柄が描かれています。

 

 

 

 

染屋さんの性格にも寄るのでしょうか。

 

今まで色々な図案を見せてもらってきましたが、

この図案に関して言えば、かなり細かく精密さを感じます。

 

 

 

前身頃の柄合わせの様子。

 

 

 

 

ひとつひとつの柄の大きさ。

 

細部に描かれた柄の大きさや、それが持つ意味。

 

ぼかしの入り方。

 

 

配色以外のすべてがこの下絵に込められていており、

その下絵師が描いたものは、

これだけでも見惚れてしまう作品の様なものです。

 

 

 

ただそれに圧倒されていては、

思ったものづくりが叶わないので、

 

下絵を尊重しながらも、

染め上がりの附下を置きながら熟慮を重ね、

自分の想いを職先へと伝えていきます。

 

 

 

 

今回、一番悩んだところは、

 

「どの柄を活かし、どの柄を無くすか」

 

です。

 

 

まずはじめに無くしたものは、

柄と柄の間にある「ぼかし染」。

 

 

染め上がりの附下をみると、

濃い地色にサッと引かれたぼかし染が目を引くのですが、

 

この濃い色にぼかし染をするのは苦難の技であること、

また今回お願いする地色は薄色になることから、

ぼかし染の魅力が引き立ちにくくなると考えて、

こちらはしないことに決定しました。

 

 

 

あと、元の附下はかなり豪華な染め上がりとなっており、

附下と言いつつも訪問着とも引けを取らない仕上がりとなっています。

 

 

そうした素晴らしい仕事内容が見惚れるものですが、

当店を頼りにして下さるお客様の事を考えると、

それも大仰なものになってしまうので、

どこか柄を減らしていきたいと思うのですが、

 

先述したように、下絵がかなり精密に、

そして計算されて描かれている事が手の取る様に伝わるので、

どこかを抜けば間が抜けたようになってしまい、

 

かといって大きさを変えて図案を描き直すのは、

もっと大変な仕事になってしまいます。

 

 

 

 

そのあたりの相談し尽くし、

下絵から伝わる作り手の想いを残して、

美濃幸好みのエッセンスを加えていく。

 

 

言い出したらキリがなく、

あまり考えすぎると堂々巡りに陥ってしまうので、

 

そこまで想いを伝え、私の意向を込める事が出来たら、

あとは作り手さんの意向にすべて任せる事とします。

 

 

 

 

ものづくりを重ねていくと、

その度に目の前に在るものが当たり前ではない事に気付かされます。

 

 

附下に限らず、紬であっても、帯であっても、

材料選びから色選び、図案を描き、仕上げていくまで、

多くの人たちの手を渡り、想いを紡ぎながら、

ひとつのものとなって私たちの目の前に存在しています。

 

 

 

今回の附下もひとりひとりの想いを感じ、尊重をしながら、

ひとつまみ、きもの美濃幸の味を加える事が出来たなら、

すべて成功と言えるでしょう。

 

 

さて、どの様に染め上がってくるのか、

今から楽しみです。

 

 

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