今夏が最後のご紹介になるかも知れません。「伝統工芸品『有松鳴海絞り浴衣』」
先週末に開催をしました、
「きもの美濃幸が伝えたい有松鳴海絞り浴衣展」
会期が終了した今週も、
有松鳴海絞り浴衣をご覧になりたい皆さまから、
反響を頂いております。
今日の徒然日記のタイトルは、
当店にしては過激な文言入り。
基本、ネガティブな言葉を、
文章として残したくないのですが、
有松鳴海絞り浴衣に関しては、
そんな綺麗事を言っていられないほど、
産地の状況は下り坂を辿っている様に見えます。
当店が扱わせて頂いている
有松鳴海絞り浴衣はすべて、
『有松鳴海地区で図案が制作され、
絞りの肝となる括り加工も地元の職人さん、
染織も地元の染屋を使い、
産地問屋さんが最終仕上げをする』
「伝統工芸品」という証紙が付いた
有松鳴海絞り浴衣だけです。
私は色々な想いを込めて、
「純国産の有松鳴海絞り浴衣」
と、
ご縁のあったお客様にお伝えしていますが、
この純国産有松鳴海絞り浴衣、
来年はご覧頂く事が出来ないかも知れません。
当店が数年前からお世話になっている、
この純国産有松鳴海絞浴衣を、
一手に手掛けておられる産地問屋さんは、
本年をもって廃業される事が決定。
後継をされる産地問屋さんも、
どうなるのか不透明な様相です。
「括り手さん、職人さんがいるから大丈夫でしょ?」
と思われるかも知れませんが、
ものつくりというもの、
特に商業ベースでのそれというものは、
作り手は職人だけでは成り立たず、
それをディレクションする人や、
俯瞰的にプロデュースする企業があってこそ、
継続性と発展性を持ったものになります。
(もちろん、例外もありますが)
今まで手掛けておられた産地問屋さんは、
そうした実績と職人との信頼関係によって、
今までのものつくりが成り立っていたとの事なので、
その要がいなくなるという事は、
産地として成り立たなくなるという事へと、
直結していきます。
新たに手を挙げて、
有松鳴海地区で頑張っておられる、
括り手や染屋といった職人さんたちと、
信頼関係を築いていこうという方がいたとしても、
それが結実するまでには、
相当数の時間と労力がかかると、
容易に想像が出来ます。
そんな、暗澹たる状況に心苦しんでいても、
それが好転する訳ではなく、
きもの専門店として、
また、有松鳴海絞り浴衣を愛するひとりとして、
何をすべきなのかと考えた結果、
今年は例年以上に、
有松鳴海絞り浴衣を仕入れる事にしました。
他の大手さんに比べれば微々たるものですし、
それが産地を支える力になるとも思えませんが、
今、私に出来る最大限、
そして何よりも、
「きもの美濃幸好み」
に叶うものを、
厳選してきました。
そんな有松鳴海絞り浴衣たち。
ご来店下さればご覧いただけますし、
オンラインショップでも掲載をしました。
今年最後にならない事を願いながら。
でも、そうした事を抜きにして、
ただただ純粋に「素敵」と思える一反を、
美しき有松鳴海絞り浴衣の世界を、
ご提案していきたいと思っております。
どうぞ楽しみにご覧下さいませ。
《有松鳴海絞り浴衣はこちらから》
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