単衣の季節から初夏にかけて心地よい帯まわりを。「帯屋捨松 すくい織り九寸名古屋帯~辻が花萩文~」
よくお客様から、
「単衣の帯でどうしたら良い?」
「単衣から結べる帯ってある??」
というご意見ご質問を頂きます。
厳密にいうと、
長着や長襦袢、帯、羽織、小物に至るまで、和装には「単衣物」があり、
その時々の季節に合わせて取り合わせていく事が、
本来の季節と共に在る姿。
ただ、コラムでも書きましたが、
昔から見ると異常ともいえる程の気候変化や、
またファッションとして和装を楽しまれる方が増えてきた事から、
昔からのきもの暦は変化をし、特に単衣の季節は年々柔軟になり、
その時期は段々と長くなってきたと実感をしています。
そうなると、先にも書いた様な質問が多くなるのが現実的なこと。
私も季節が近づくと、京都の問屋さんを巡り、
また心得のある問屋さんに声を掛け、単衣に向く帯を探すのですが、
意中の一品を探す事が難しい、なかなかの難題だったりします。
需要の変化により、単衣帯自体の生産反数が減り、
私の知る限りほとんど作られておらず、
または生産自体を止めてしまわれているのが多くの機屋さんの現実。
先週のコラムでも書きました「楊柳」の生地と、
全く同じ現実がそこにはあります。
ひと昔前、着物を日常的に着ていた頃にあった、
着物を着る方にとってあると絶対に便利なものほど、
今の世の中には残っていない。
また生産されることを切に願いながらも、
そんな中で巡り逢った(ちょっと大げさ笑)、美濃幸好みの一品が、
今日ご紹介します単衣の九寸名古屋帯です。
帯屋捨松 単衣九寸名古屋帯「辻が花萩文」
伝統技術に裏付けされた確かな織技術と、
今の時代を見据えたものつくりをされている、
京都西陣の名店「帯屋捨松」さんの一品。
今の季節からお楽しみ頂けたらと思う織り上がりの一品です。
帯屋捨松さんの帯はご覧のとおり、一目でわかる「色の世界観」が特徴で、
夏帯によく使われる「萩の花」をこうした色の世界で表現できるところが、
大きな魅力のひとつとなっています。
織の技法は「すくい織り」。
細かなボカシ表現や微細な柄表現が出来る事が、すくい織りの魅力で、
ジャガード織機の様に紋紙がないので、一本ずつ配色を変えながら、
また図案を変えながら一点ずつのものつくりが出来る事も、
その物を持ち、結ばれる人にとっての魅力かも知れません。
前腹はこの様な雰囲気。
紋紙がある織物は、どうしても同柄の繰返しになりがちですが、
別腹と呼ばれるお太鼓と前腹の柄を変える様式は、
すくい織りなら比較的容易に出来ます。
お太鼓と前腹、柄の天地が変わってしまう多くの帯の特徴も、
こうしてどちらも天地が揃うと一層、その着姿もすっきりとします。
どの様な長着と合わせるのか、既に意中の一反はあるのですが、
そのご紹介はまた後日のコラムにて。
楽しみにお待ち頂けたら、嬉しく思います♪
この帯の場合、純然たる「単衣帯」でも「夏帯」でもなく、
その中間を意識した織り上がりの一品。
程よい透け感があることと、織の風合いから、
カジュアル傾向が強い帯になるので、
単衣から夏まで幅広い季節で結んで頂けます。
一本手持ちにあると便利な帯ですので、皆さまもお試し下さり、
今からの着物が一層美しくなる季節を存分にお楽しみ下さいませ。
《掲載商品詳細》
帯屋捨松 すくい織り九寸名古屋帯 136,000円(税別・反物価格)
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