卯月の京都雑感。「まこと織物さんの工房見学をさせて頂きました」
新年度がスタート!!
年度末は何かとバタバタするので、
心新たにという心境にはなりにくいですが、
それでもまわりに咲く桜の様子を見ては、
心浮き立つ心地がするというのも、
実に日本人らしく、またそうした力が桜にはある様に感じます。
4月朔日は、京都に出向き問屋さん巡りに。
蔵出し市期間中に頂いているお仕事をこなし、
新たな出会いを探しながらの道中でしたが、
昨年と同様、春休みの子どもたちと連れ立っての道中となりました。
問屋さん各社、当店の様子をよくよくご存知の皆さまなので、
子どもたちもおむつの頃からお世話になっている方ばかり。
久しぶりにお会いする方とは、
「大きくなったねー!!」との言葉をどこでも掛けてもらい、
先月もお会いしたばかりの方とは、
まるで親兄弟の様に接していただけて、
何かにつけて有難い限りだなと思っております。
そして、
私の本業と社会見学を兼ねて、
夏帯の別注をお願いしている「まこと織物」さんの工場の様子を、
見学させていただきました。
まこと織物さんの個展を、
当店で開催させていただいたのが、8年前。
同行した息子は当時保育園児だったので、
まこと織物の担当者さんとは久しぶりの対面!
息子は覚えている訳もないですが、
担当者さんはよく記憶して下さっており、
懐かしい話から工房見学がスタートしました。
事務所に隣接する工房。
西陣の機屋では見慣れた紋紙が置いてあったり、
整経された糸が置いてあったり、
かすかに香るオイルの匂いや、機織りの音は、
何とも心地が良いもので、
そこには長年ものづくりに一心に取り組まれてきた、
職人さんたちの想いが在るように感じます。
初めて見る、すくい織りの現場。
今まで店で実演する機織りは見たことがある子どもたちですが、
こうして製品を織り上げる本当の現場を感じるのは初めてで、
その緊張感をそのままに感じている様に見えました。
現在、
まこと織物さんのこの工房ですくい織りをされている職人さんは、
お二人だけ。
すくい織りは「横糸で絵を描く」ように、
図案があっても職人さんの感性に寄るところが大きく、
「図案2割・職人8割」とまで言われる技が必要とされるので、
現代における困窮したものづくりの現場においても、
なお一層のご苦労があるとの事でした。
機械が織り上げるものをただ横で見ているだけにはいかず、
色選びから織り糸の具合まで、
お一人の職人さんによって織り上がるすくい織りの帯たち。
だからこそ魅力あるものに織り上がる訳ですが、
だからこその苦労がある事を、まざまざと知ることが出来ました。
絵を描く事が大好きな娘は、
食い入るように織っている様子を見ていました。
絵を描くだけでなく、観る事も大好きであり、
毎日色々な絵を描いている彼女にとって、
機織りに向かう職人さんの様子から、
何かを感じている様。
「もう失礼するよ」
と声をかけるまで、
ずっと見入っていました。
工房見学を終えて、
別注をお願いしていた夏帯の織り上がった様子も拝見し、
すべて大満足だった、まこと織物さんでの時間。
貴重なお時間を、誠にありがとうございました。
厳しいものづくりの現場を見るたびに、
私たちがしなければならない事を再認識しますし、
こうした一心な職人さんやメーカーさんあってこその、
自分たちの仕事がある事を自覚させられます。
夏に向けて、この様な心ある一品を揃えて、
美濃幸好みの夏着物たちを皆さまにご覧いただけたら幸いです。
そんな決意新たにする、卯月の京都雑感でした。
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