大胆な構図の中に在る夏の涼感をお楽しみください。「夏九寸帯(夏名古屋帯)「工芸キモノ野口・大雪輪・絽ちりめん・絞り」」
美濃幸好みの夏の一品をご紹介しております。
ゴールデンウィークも過ぎ、
そろそろ本格的な夏物の準備が進む頃。
最近は猛暑を越した酷暑の影響もあり、
7月8月の真夏に着物を着ようと思い気持ちが削がれがちですが、
それでも一年のうちで最も着物の美しさが引き立つ夏にこそ、
着物を楽しみたいと思われる方も多いことも感じております。
そんなお気持ちな皆さまに、
見ているだけで涼感を感じさせてくれる夏の一本をご紹介いたします。
夏九寸帯(夏名古屋帯)「工芸キモノ野口・大雪輪・絽ちりめん・絞り」
大柄な雪輪模様が染め上げられた一品。
創業290年以上にもなる、
京都を代表する京友禅の老舗「工芸キモノ野口」さんが手掛けた、
夏九寸帯(夏名古屋帯)です。
まずは、その大胆な構図が目と心に留まる一本。
実に遊び心があり、見ているだけで楽しい心地がします。
薄っすらとした白茶色の地の上に、
スカイブルーに近い水色とこっくりと深みのある焦げ茶色の二色を使い、
この絡み合う二つの雪輪模様を染め上げました。
雪輪模様は、夏柄の定番。
古くは桃山時代の装束から使われていたようで、
当時は雪持ち柳の柄などに交じって白糸で雪の小さな円形を刺繍で縫い上げ、
表現がなされていました。
江戸時代になるとその形は今のそれと似通ったものへと進化していき、
当時の呼び名は「はずれ雪」。
この3~4つの膨らんだ弧とひとつの窪みが交互に出てくる、
今私たちにも馴染みのある独特の形が出来上がったそうです。
こちらの一本は、その二つの雪輪模様が交わり、
ひとつの模様として染め上げられています。
またその表現する技法は絞り染であり、
糸目友禅の様なパキッとした輪郭線ではない絶妙に揺らぎがあり、
それがあるからこそ、
これだけ大胆な構図であっても、
どこか柔らかさと優しさを感じさせてくれる要因となっています。
多分私も、これが絞りではなかったら見分けなかったと思います。
色目も相まり、
どこか柔らかで緩やかな印象を受ける仕上がりにこそ、
この帯の魅力があります。
前腹の様子はこちら。
前腹部分は、水色で雪輪模様を象りました。
刀の鍔の様な形となっていますが、
これも雪輪模様の一種。
実際に折り曲げるとこの様に見えます。
お太鼓に比べるとシンプルな配色となりますが、
このシンプルさがある事でお太鼓の印象が一層高まり、
また合わせる長着によっての小物選びも自由さが増してきます。
同系色の水色系の帯〆を持ってくれば、
夏らしい爽やかな印象を創り上げてくれますし、
お太鼓の焦げ茶色の一本を持ってくれば、
シックな印象をの着姿を創り上げてくれるかと思います。
個性に合わせて、その時々の気持ちに合わせて、
お好みの一色を選ぶ楽しみがあります。
地色の白茶色から夏らしい水色、それをまとめ上げる焦げ茶色。
この三色しか使われていませんが、
決して質素な雰囲気でない、
十二分に夏色を楽しめる最小にして最大限の色選びとなっています。
そしてどこか洋を感じさせてくれる一色たちを選び抜くあたりに、
創業290年以上にもなる歴史の中で培われ、
磨き抜かれてきた工芸キモノ野口さんの感性とセンスを、
この一本からも感じさせてくれます。
夏紬から小千谷縮などに合わせていただけますし、
また生地に絽ちりめん生地が使われているので、
少し早めの時期から、遅掛けに掛けての単衣の頃にも、
小物合わせなどを工夫しながらお楽しみいただけます。
夏の暑さは抑えることが出来なくとも、
見た目から感じる夏の涼感は、
こうした帯の一本、小物の一色からも感じられ、
その集合体が得も言われぬ「夏着物の涼感」を創り上げてくれます。
皆さまも自分らしい色と柄を組み合わせて、
少しでも快適に、そして夏着物を楽しめる季節をお過ごしくださいませ。
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夏九寸帯(夏名古屋帯)「工芸キモノ野口・大雪輪・絽ちりめん・絞り」
165,000円(税込・反物価格)
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