天平文化から受け継がれていく文様の格式を。「九寸帯(名古屋帯)「経錦織・葡萄唐草文様」」
来月までの約一か月間にわたりご紹介をして参ります、
日々、それに似合う新入荷の一品や、
きもの美濃幸好みのコーディネイトをご紹介して参ります。
コーディネイトの核となるものは、着物と帯。
附下や色無地など、
染物の色柄を基本として、
それに似合う帯を合わせていく訳ですが、
今日ご紹介する一品は、
あっさりとした印象を創りながらも、
フォーマルとしての格調も与えてくれる九寸帯です。
どうぞご覧くださいませ。
こちらの経錦織の九寸帯が新入荷しました。
西陣織の機屋のなかで、
伝統を守りながらも革新的な発想でものづくりをされている、
田村屋さんが手掛けた一本。
「経錦織(たてにしきおり)」という織り技法を使い、
仕上げた九寸帯になります。
経錦織とは、
帯に織り上げる文様を三重三色を一単位として、
その単位の彩経(いろだて)を浮き沈みさせながら織り上げる技法の事です。
古くは中国の漢の時代から織り上げられている技法で、
その頃の遺物も少なくなく遺っているほど、
王道の織り技法だったそうです。
今、奈良で行われている正倉院展。
その正倉院宝物のなかにも経錦の織物はあるそうで、
どこかでご覧になった事もある方も居られる事思います。
時代を経る中で柄を織り表す技法は、
経糸から緯糸が主流となり、
徐々に主流からは外れていきますが、
それでも経糸本数が多い事からくるしなやかな質感や、
多彩な織り上がりは今もなお好まれる織り技法となっています。
そんな経錦を使い織り上げる文様は、花唐草模様。
花の模様、また葡萄の模様などが配され、
それらをまとめ上げる様に唐草模様が織り込まれています。
地色は、こっくりとした人色(ひといろ)。
日本人には馴染みのある薄い黄赤色で、
橙色とは違う落ち着いた印象があり、
またベージュ色とは違う華やかさも感じられる、
なかなか良い色目となっています。
ご覧の通りの格調ある文様が織り込まれていますが、
フォーマルというと袋帯が定番。
では、
「九寸帯(名古屋帯)がどこまで通ずるのか」
という不安を感じられる方も居られるかも知れませんが、
私は色無地や附下に合わせて、七五三や入学卒業式などの場に、
自信をもって結んで頂ければと願っています。
帯の格式は「丸帯」が最上、
それ以外はその柄によります。
今やほとんど織られていない丸帯の存在はほとんど無く、
そうした理由から袋帯が最上という様な認識が増えていますが、
そもそも、袋帯自体も丸帯の略式として作られたもの。
略式にしたという意味では、九寸帯も同じとなります。
袋帯であれ、九寸帯であれ、
その帯にどの様な柄が描かれているのか。
正倉院文様や有職文様など、
昔から日本で受け継がれてきた格式のある古典柄であれば、
必然的にその帯の格式も上がりますし、
動植物や風景文様の様な気軽な柄であれば、
帯の格もそれに準じていきます。
そうした意味でこちらの九寸帯は、
葡萄唐草文様という正倉院文様の代表格のもの。
色無地や附下をお召しになる様な場であれば、
十二分に役に立つ一本という事になります。
またもうひとつ、
九寸帯を結ぶメリットのひとつとして、
「すっきりとしたお太鼓姿」も挙げられます。
一重太鼓となる九寸帯は、
その後ろ姿であるお太鼓の様子も袋帯と比べてすっきりとし、
軽い帯姿がちょっとしたフォーマルとして、
とても品よくまとまると、私は思っています。
フォーマルとしての品格も在る経錦の一本は、
そんな美濃幸好みの雰囲気を創り上げてくれる貴重な一本でもあります。
これからの礼装きものの出番が増える季節。
お役に立てれば何よりも嬉しい事です。
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165,000円(税込・反物価格)
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