家族全員が自分らしい一着と共にハレのひとときを迎えられること。「我が家の七五三」
我が家の七五三。
昨日、無事滞りなく(!?)そのひとときを過ごす事が叶いました。
主役は娘さん。
本来であれば数えでは昨年すべきところなのですが、
その頃の我が家は本業もその他もてんやわんやな状況で、
何も出来ないままに時を過ごすことに。
何とか七歳のうちにしてあげたいと決意を固め、
数えからは一年遅れ、ぎりぎり七歳のうちに、
お詣りをする事が出来ました。
主役本人の朱赤の衣裳は、
彼女が産まれた時に誂えた祝い着を解き仕立て直した一着。
祝い着と三歳の衣裳は、
背縫いのない一つ身のものが主流です。
大人になる前、成長の過程における縁起のものとなりますが、
当店ではお客様にも我が家と同じ様な仕様をおすすめする事があります。
こうする事で一枚の布を長く使う事が出来、
小柄なお子様であれば十三参りの頃までお召しいただける布として、
仕立て替え、裏地を付けながら愛用して頂ける事になります。
という事で、
この総柄小紋の布も、
背縫いが必要な七歳の衣裳と成り、
ようやく本領発揮の晴れ着となりました。
帯や小物はすべて彼女本人の見立て。
朱赤の衣裳なのでどの様な色目も合わせやすいですが、
水色の袋帯はすっきりとまとまり、
黄色のバッグとしごきは相性良い色目にまとまりました。
意思がはっきりとしており、好みや明確な彼女。
絵を描く事が好きな事もあってなのか、
色へのこだわりがあり、
きもの屋店主の私も感心するコーディネートになったかと思います。
(親バカ失礼いたしました!!)
さて、
その脇を固める息子の姿。
最愛の妹のハレの日は和装と決めていたのか、
はたまた我が家においては和装は当たり前と思っていたのか、
彼も自然と着物に袖を通してその日を迎えました。
息子が袖を通した上代御召のアンサンブルは、
きもの美濃幸の初代であり私の祖父、
息子は写真でしか見た事のない曾祖父が日頃から袖を通していた一着です。
祖父が着ていた着物たちは沢山しまってあり、
私も着たいと思うものが何着かあるのですが、
如何せん昔の人ながらの小柄だった祖父。
裄丈も着丈もどうにもならないほどなので、
帯などを使わせてもらっていました。
息子も大きくなり、そろそろ一式誂えてあげようと思っていたところ、
この納戸に眠っている着物たちを思い出し、着せてみたら、
誂えたかの様に着丈裄丈が合い、大変驚きました。
手入れも行き届いており、
またこの一式は恐らく誂えただけで袖を通した形跡はなく、
息子のちょっとしたフォーマル着物として最良の一着となりました。
帯は子どもらしく、兵児帯にして着せたところ、
その様子を見ていた女将(初代の娘であり私の母)は、
何とも言えない表情で目に涙を浮かべていました。
きもの屋の七五三。
とは言え、
着物を着て迎えることは決して当たり前ではありませんが、
押し着せる訳でもなく四人とも自然に和装を選び、
自分らしく装う一着と共にハレのひとときを過ごすことが叶うことは、
私にとって何より嬉しく、
大切な思い出がまたひとつ出来た心地がした一日と相成りました。
和装と共に過ごす、大切なひととき。
お客様には当たり前の様におすすめをし、
そのひとときの価値は十分に知っていましたが、
改めて自分自身がその時を迎えると、
何にも代えがたい人生における価値と幸福感を与えてくれるものだと実感します。
これで今まで以上に皆さまにも、その気持ちが伝えらえるというもの。
ぜひ皆さまも思い思い、お一人様ごとに合った、
着物と共に在る素敵なひとときをお過ごしくださいませ。
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