想いを引き継ぐ、振袖の在るべき姿。
成人の日が近づいてきました。
成人の日を迎えられる皆さま、
また、その時を共にされる皆さま、
誠におめでとうございます!
心からお祝いを申し上げます。
当店はご覧のとおり、主だって振袖を扱っておらず、
それでも、きもの美濃幸らしい振袖を見立てて欲しいというお客様に恵まれ、
そうした皆さまにご覧頂ける一品を、少しずつですがご用意をしています。
また最近は、「ママ振袖」という言葉が流行の様ですが、
当店でも祖父の代にお見立てしましたお母様の振袖をお嬢様へと、
見立て替えをするお仕事を頂く事も多く、
解き洗い張りをして、裏地も交換し、寸法も直して、
お嬢様のハレの時を祝う一着へとさせて頂いております。
下の振袖も、そんな一着。
本来振袖は、その家を代表する衣裳であり、
とても贅沢なものでした。
娘に誂えてあげられる事は稀な事で、
ましてや、娘ひとりひとりに誂える事は大変なこと。
「娘三人いれば家が傾く。」とまで言われるほどのものでした。
だからこそ、一着の振袖を大事に受け継ぎ、
姉妹へ、そして子へと、譲っていくものだと、私は思っています。
この振袖は、そんな想いと共に、
祖父の代の頃にお母様が成人を迎える際に誂えたもの。
染屋さんの柄見本を基に、色柄を決め、
お母様(当時お嬢様)の寸法に合わせて柄付けを決めてあります。
そのため、縫い込みの部分が柄が入っておらず、
手抜きの様に見えるかも知れませんが、これが誂え品の証。
写真の白地の部分は、白生地のままの部分になります。
時代でしょうか、きちんと抜きの三つ紋が入れられ、
先に書いた通り、「家の衣裳」としての役割を果たして欲しい想いが、
この一着に込められています。
祖父が見立てたものを、孫の私が見立て直しをする。
ご家族様が想いを引き継ぎ、当店の事を頼って頂ける事に心から感謝をすると共に、
そうした商いをしてきた祖父の事も大変誇らしく感じます。
「ママ振袖」等と、新しいものを買わずに着まわす事や、
レンタルをしないで在るものを使う事の流行り言葉の様ですが、
それが本来の在るべき振袖の姿のひとつ。
お金も時間も、何でもコストに換算してしまいがちの現代にとっては、
もう一度思い返すべき、大切な事の様に思えます。
もし皆さまのお宅に家に、そうしたコストを度外視した、
想いを共にするに相応しい一着が在りましたら、
ぜひ、それぞれの想いを受け継ぎ、袖を通してもらえたら、
着物屋としても嬉しい限りです。
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