男のきものを嗜む。「白大島と組紐角帯の心地よさ。」
春袷の季節になると、決まって袖を通したくなる長着。
それは「白大島」です。
四月に入ってからは、
何年も着続けてきた愛用の長着と帯をコーディネートして、
過ごす日が増えてきました。
亀甲柄の白大島と、ボルドーの組紐角帯をコーディネート。
春から初夏に向けて、春袷の時期に、
色柄も素材感も向いている、お好みの組み合わせです。
この白大島との付き合いも、もうすぐ20年ちかくに。
確か26歳頃に出会い、アンサンブルで誂えたのが始まりでした。
その時も呉服店で会社勤めをしていたのですが、
とてもお世話になっていた先輩が着ていた白大島を見て憧れ、
当時にしては清水の舞台からの思いで誂えたもの。
今にして思うと、あの時これを誂えていなかったら、
今まで白大島と出会い、自分のものにはなっていなかったのではと、
一期一会の出会いを感じています。
軽く、滑らかな質感は大島紬ならではのもの。
それに加えて「白」が放つ涼感と雰囲気は独特のもので、
以前は暦が春になった立春頃から着ていましたが、
最近はその頃よりも今時分、桜が散り始めた頃からが、
この白大島の醍醐味を味わえる季節なのではと感じています。
そして、コーディネートをしました「組紐角帯」。
アップで見るとこの様な雰囲気の帯です。
こちらの帯は、二本の組紐を縫い合わせて、
一本の帯に仕立てたものです。
組紐は、その名の通り「紐を組んで布状にしたもの」で、
緯糸は使わず、経糸を規則的に組み合わせながら、
紐、もしくは布状にしていきます。
「組む」「編む」「織る」は、古来から伝わる布状組織の代表で、
組紐の関して言えば、日本では飛鳥時代頃からあり、
朝廷の衣裳のベルト(帯)としても活用がされてきました。
組紐角帯のメリットは、
緯糸が無い分、バイアス方向への伸縮性があり、
帯として結んでいると体の局面に密着するので、
腹~腰に沿う気持ちよさがあります。
緯糸と経糸をきっちりと張った硬めの織帯の場合、
帯の耳が腰骨などに当たると、少し違和感を感じる事もありますが、
組帯の場合は、そうした事もなく、柔らかな結び心地が気持ちよく感じます。
反面、そのメリットはデメリットにも繋がり、
博多織の様な腰の強さはそこにはないので、
シャキッと結びたい方にとっては少し物足りないものになったり、
ウエストがある方にとっては、お腹周りを支える事が難しい帯となります。
私的には、さき織り帯ほど軽くて柔らかくないので、
「少し疲れが溜まった週末に、お腹周りを楽にして、でもきちんと感を出したい帯。」
というカテゴリにある帯。
その時の気分や、体調に合わせて、一番心地よい長着や帯を選ぶ事が、
着物を日常的に着続けるコツかなと、自分なりに想いながら過ごしています。
何より、大好きな着物や帯に出会い、
それと共に素敵な時間が在る事が大切な事であり、
一層着物の生活が身近になるきっかけ。
皆さまにとっても、
着物がその様な自由で楽しい選択肢となります様に。
- 2024.10.01 2024年10月の定休日・和のコト教室(着付・茶道)開催日のご案内。
- 2024.09.30 10/11(金)-14(祝) 型絵染 岡田その子展 開催します。
- 2024.09.27 10月5日(土)・6日(日)「大門フェス2024 第2回大門子ども商店街」に出店をします。(5日(土)は実店舗休業となります)