留袖の存在感。
きものクリーニングキャンペーンも、本日最終日。
なんとものタイミングで台風24号が近づいておりますが、
空の様子を見ながら、皆さまのご来店ご利用をお待ちしております。
まずは何よりも、皆さまがお住まいの地域が、
大きな被害を被らない事を心から願って止みません。
十分にご用心下さいませ。
さて、
今回のキャンペーンでは申し合わせたかの様に何着も、
「留袖」のお手入れをお預かりしました。
皆さま、6月頃にジューンブライドを行い、
「美濃幸は9月キャンペーンだ!」という事で、他では出さずにお持ちだった様子。
有難い限りです♪
お預かりしました留袖は、
かっちりとした仕事の京友禅のものから、柔らかで優美な加賀友禅のものまで、
お話しをお聞きするに、ご購入から何年か経っているのですが、
だからこそ味わえる確かなものつくりが施されたものばかりで、
どれも一見の価値のあるものばかりを拝見することが叶いました。
最近はレンタルが主流となった、留袖。
礼装の在り方が変わり、それに伴い日本人の考え方や価値観も変わり、
だからこそ今必要とされる留袖や振袖のレンタルを否定する訳ではないのですが、
それでもやはり、想いを込めて誂えた一着に、
特に留袖・振袖という「第一礼装」には格別の存在感があるのだと、
色々なお客様と接し、ものつくりの現場を見続けている私は思っています。
あるお客様から、
「今回、私がこの留袖を着たんだけど、次に出番はあるのはいつの事かな?」
という会話があったのですが、
「留袖は、ここ一番の大切な節目にこそ、その存在価値があるのだから、
何年、何十年に一回の『その時』に全ての意味があるのだと思います。」
とお答えをしました。
お客様がお持ちになられた留袖は、しっかりとした仕事が施された京友禅のもの。
お値段などはお話しされませんでしたが、それなりの想いを込めて誂えた事でしょう。
何年に一回、ましてや何十年に一回しか着ない、
そして着る事がないものに支払う多額な金額を、
ただ単純に一回当たり幾らかかるを回数割りをすれば、なんて効率の悪いもの。
経済の論理で片付ければ、果てしなく非経済的なものになります。
でも、
『その時』の一瞬は絶対にお金に変えられるものではなく、
その瞬間を彩る衣裳たちには、格別の存在感を持つ力が、
作り手によって込められ、備わっています。
要するに、手間をかけて作るからこそ作り手の想いがこもり、
一瞬を彩る衣裳になりうるということ。
留袖と振袖、
この二つは「第一礼装」の衣裳として別格の存在価値と存在感が在り、
だからこその「第一礼装」です。
もちろん手間がかけて作ればお値段は上がりますが、
本来の意味にはお値段の高下などなく、
家族や大切な人たちの節目を彩る、無形の価値が備わっています。
今回のキャンペーンでは、
その事をお客様と着物たちから切々と教えて貰えた気がします。
秋から冬にかけても多くなる、人生を彩る大切節目のひととき。
ぜひその時は、お手持ちの衣裳をたとう紙から出して、
袖を通してみてはいかがでしょうか。
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