着物を自分らしく楽しむ事。
過日のサロンコンサートでは、
当店女将も久し振りに着物に袖を通して音楽のひとときを楽しみました。
最近ご縁が繋がったお客様はご存知ない方もおられるので、
少し女将について説明をさせていただきます。
女将はきもの美濃幸2代目の店主。
初代である父(私からすると祖父)の想いを引き継いで、
3代目となる私にそのバトンを繋いだ人。
私の母親になります。
祖父の頃は当時の時代背景もあって、
誂えの礼装きものを主として扱わせていただいていましたが、
女将の代となり、元々紬が大好きだった事もあって、
礼装から180度方向転換し、
今のきもの美濃幸の礎ともなる、
「日常の延長線上に在るきもの」
を主としてご提案する、
きもの専門店へと変わっていきました。
その女将も、
後期高齢者はとうに通り過ぎた年齢。
元々小柄な体格をしていましたが数年前に体調を崩して以来、
年齢の相まって体力と気力も失せていき、
観劇や店の展示会など、
着物を着る機会がやって来ても、
いざ着物に袖を通そうと思う段になると、
「着物と帯が重くて大変なのよね。」
と口にしては、
いつもその機会を逸していました。
それまでの女将をご存知の方からすれば、
驚きの変容っぷりでした。
毎日、必ず着物を着て店に立っていた訳ですし、
ご来店のお客様に限らず、私がブログやHPでその着姿をアップしていたので、
その着姿をいつも楽しみにご覧いただいていたり、
更に嬉しいことに、
衿元もゆったりと帯の位置も少し落とし気味な、
とても気楽な着姿に憧れて、
「いつか歳を重ねたら女将さんみたいな着物姿になりたい。」
と仰ってくれる方も多く、
女将はいつもそれを励みにしていました。
そこまで着物が好きで、楽に着物を着ていた人であっても、
着物を着るという事は少なからず体力と気力を使うと言う事です。
女将の着姿はこちらから
何をお伝えしたいかと言えば、
着物は着られるものではなく、着るためのもの。
自分らしく楽しみながら着る事にこそ価値があると、
私はいつも女将の着姿を見ながら感じ、
また今は自分自身もそれを目指し、
ご縁のあったお客様に着物の楽しさをお伝えしています。
綺麗に着る事はあくまでも通過点であり、
その先に在る「着物で楽しむ事」を、
着物を愛して下さる方には目指してもらいたいと願っています。
今回は体調も良く、また気分が乗り、
最後はスタンディングオベーションで水野さんの演奏を聴いている姿を見て、
私も我が事の様に嬉しい気持ちになりました。
これから増々酷暑に日々となります。
どうぞ皆さまも決して無理はなさらずに、
体力と気力と相談をしながら、
「自分らしく楽しい♫」
と思える、
着物と共に在るひとときをお過ごしくださいませ。
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