絵羽物の魅力。辻が花染の魅力を感じる壁面ディスプレイを。
1月最終週の壁面ディスプレイ。
先週までは振袖を掛け、初春らしい季節感を演出しておりましたが、
今週はこちらの一着を掛けることにしました。
辻が花染作家、小倉淳史さんが手掛けた訪問着に、
美術工芸啓さんが手掛けた袋帯を合わせてみました。
いつもの壁面ディスプレイは、
大衣桁を使わないことがほとんどですので、
こうした時にこそ振袖に限らず訪問着なども掛けて、
絵羽物ならではの流麗さや華やかさを感じていただけたらと思っています。
小倉淳史さんの訪問着。
総柄の訪問着の様な豪華さはありませんが、
爽やかな地色や配色、すっきりと馴染みの良い柄付けが、
不思議な安心感を感じさせてくれる仕上がりとなっています。
私が想う「小倉先生の魅力」は『色』につきます。
地色からそれぞれの柄色や細やかな挿し色、
そのひとつひとつに想いを巡らせ、
調和のとれた色遣いをされると共に、
時代を見据えた色選びが実に絶妙な仕上がりとなっています。
葵の葉の色も、
奇を衒った飛び出たような色を使うのではなく、
全体の調和のなかで、「挿し色」としての役を担う一色を選び、
そこに個性を感じさせてくれる仕上がりとなっています。
肩口の露芝の色も絶妙。
こうした色選びが私が想うところの魅力であり、
大好きな理由になります。
昨年末久しぶりに小倉さんとお会いした際、
体調を崩された様な事を仰いつつも、その目には溢れる力を感じました。
御年79歳。
まだまだ変わらずお元気に私たちの目と心を楽しませてくれる
素晴らしい一品を生み出してほしいと願うばかりです。
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