織り段、織り糸に込められた男の粋。「下井紬 夏紬 × 大井川葛布 角帯」
男の着物、その中でも夏衣に限定すると、
木綿の浴衣・麻の小千谷縮以外ではみかける事も少なく、
絹のものでお探しの方も多いのではないかと思います。
私たち着物屋も同じことで、
質の良い男性向きの夏衣や夏紬を探すために、
問屋さんを歩き、探していくのですが、
今日ご紹介する一品は、そんな出会いの中で見つけた、
男の夏の粋を感じる夏紬です。
下井紬 夏紬 × 大井川葛布 角帯
長野県飯田市で製織活動をされている、
下井伸彦氏により織り上げられた「下井紬」と、
4月に当店で三日間、個展をさせて頂き、
多くの皆さまの心を打った日本三大古代布のひとつ、
村井龍彦氏の「大井川葛布」の角帯の組み合わせ。
どちらも、織りに魂を込めて機に向かわれている職人による、
とても贅沢であり、至高の織物の競演です。
下井紬を当店で取り扱わせて頂いたのは、
この男物の夏紬が初めての一品。
下井さんと共に物つくりに励まれておられる、
京都の紬問屋さまから何度か紹介をして頂き、
この一反に出逢う事が出来ました。
男物というと兎角、
黒・灰・茶・緑と、単色のものが多く、
最近着物に関心があり、
普段から着物をお召しになりたいと思われている、
ファッション感度の高い男性からすると、
「着物は着たいけど、着たいと思える着物が無い。」
という、悲しい現実があるなか、
この一反は、
単純に見えがちな色の世界に、
経糸の中に数多くの色が散りばめられており、
また織組織の具合により、
とても表情のあり、質感の感度も高い、
織り上がりになっています。
「単純なものは嫌だけど、奇抜すぎるのも嫌。」
「上質な質感、本物の風合いを感じられるものが良い。」
という、
当店にお越し下さる着物男子の皆さまが、
口々に仰る事を、まとめたかの様な一反です。
合わせる帯も、それに相応しいものに。
葛布の緯糸と共に、
手防の和綿と、それを染めた藍の色が映える、
大井川葛布、村井龍彦氏監修による、角帯。
実際には村井さんの奥さまが、
織り上げて下さったものなのですが、
4月の「大井川葛布展 ~古代布の源流に触れる~」を開催するにあたり、
私がお願いをし、別機で織り上げて頂いた、別注品になります。
工房に伺い、お話しをする中で、
村井さんにお願いをした事は、
「大井川葛布の光沢感が活きつつも、
普段着使いもこなせる、気軽さがあるものに。」
という事。
そこで、手防の和綿を藍で染め上げ、
藍色の風合いが、絹だけなく、綿や麻の長着にも合いやすい、
そんな織り上がりになりました。
角帯というと、普通はどれも、
「仕立て上がり」のものばかりですが、
この帯は未仕立ての状態でご提案していますので、
お好みの帯巾に仕立て上げて、
自分が最も馴染む帯巾でお楽しみ頂く事が出来ますし、
裏地を付けて、六寸帯として女性が結ぶ事も可能。
気に入って頂けた方に合わせて、
自分らしくお楽しみ頂けたら何よりの事です。
先月まで名古屋城で開催されていた「平成中村座」、
私も千秋楽の昼の部に足を運びましたが、
女性は多いのですが、男性の着物姿は私ひとりだけ。
何とも寂しい限りですが、
現実問題として、
「この時期の歌舞伎鑑賞に行くのに、
自分が着ていきたい長着の素材がない。」
というのも正直なところなのではと、私は思います。
当店も限られた点数ではありますが、
着物がファッションの選択肢のひとつとして、
多くの男性が楽しめるように、精一杯尽くしていきますので、
ご来店の際はぜひお気軽に、
夏着物のお悩みをご相談下さいませ。
皆さまにって、着物と在る素敵な夏となります様に。
「掲載商品詳細」
下井紬 夏紬(絹100%) 116,000円(税別・反物価格)
大井川葛布 角帯(経糸和綿・緯糸葛糸) 189,000円(税別・反物価格)
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