藍染と絣織。 何の衒いもなく一心に織り上げる。「九寸帯(名古屋帯)・小熊素子・手織り・本藍染」
9月も最後の週末。
秋冬に向けた新商品のご紹介のうち、
カジュアル傾向にあるお品のご紹介は本日が最終となります。
来月はフォーマル傾向のお品を中心にご紹介。
七五三など、礼装をお召しになるセレモニーが増える時期にお役に立てる、
美濃幸好みの一品たちをご紹介しますので、
どうぞ楽しみにお待ちくださいませ。
さて、
そんな9月の一日にご紹介する一品は、
私が数年前に出逢って以来、そのものづくりに賭けるお心に惚れ、
コツコツと作品を仕入れています、
小熊素子さんが手掛けた九寸帯(名古屋帯)になります。
東京で製織活動をされている、
染織作家小熊素子さんが手掛けた、
手織り・本藍染の絣紬九寸帯(名古屋帯)です。
小熊さんとのご縁の始まりは数年間、
懇意にさせていただいている紬問屋さんの展示会にて、
会場の奥に掛けてあった無地紬に見惚れ、
その一反を手掛けたのが小熊さんであり、
それ以来、
心留まる一品を見分けさせていただいたり、
2年前には工房にも伺いして、
作品やものづくりへの理解を深める様にしています。
小熊素子さんの工房見学の様子
正直なところ今回の一本は、
最初に出逢った時はしっくりと来なかったのですが、
見ているうちにどんどんと色合いや絣の雰囲気に引き込まれ、
今や大好きで心奪われる一本へと相成りました!
郡上紬に源流をお持ちの小熊素子さん。
郡上紬で重要無形文化財(人間国宝)を保持されていた、
故 宗廣力三氏に師事し、草木染や手織りの基礎を学ばれています。
こちらの一本は、
正に郡上紬の神髄を感じさせてくれる織り上がり。
ご自宅の庭先で栽培をされた藍を使い、
ご自身の工房で回数を重ねて染め上げられた本藍染の深い色合いが実に美しく、
民藝の世界へといざなってくれます。
余談ですが、
私は藍染の薫りが大好きです。
藍の薫りの元である蒅の薫りは、
不思議なリラクゼーションの世界へと導いてくれます。
なので、このページを書き記している途中も、
度々席を離れては帯の元へと行き、
手の取り、風合いを確かめ、香りを嗅ぐ次第(笑)
きっと同じ気持ちの方がおられると信じております!
さて、本題に戻ります。
藍染の色合いに続き、
もうひとつの魅力は「絣」の美しさ。
何気なくも、心の奥底に響く美しさが在ります。
水雲文様や市松模様など、
古来から脈々と日本の風土文化の中で培われてきた絣模様が、
何の衒いもなく、一心に織り込まれています。
藍染と絣織。
共に南蛮渡来、シルクロードを経て日本に辿り着いた技術ですが、
この組み合わせは実に日本らしく、
日本人の心を打つ何かがある様に感じます。
そして最後、
この帯が持つ大きな魅力は、
経年変化を一生をかけて楽しんで頂ける事にあります。
本藍染の様に何度も染色を繰り返し、
それによりしっかりとこなれた風合いとなった絹糸の生地感と、
こっくりと深く染め上がる本藍染の色合いは、
ご縁ある方に結んでいただけるところからが全ての始まり。
最初は若干の硬さを感じながら結び心地や、胴周りの触感も、
何度も結び使い込んでいく事により、
その方に合った風合いへと馴染んでいきます。
また本藍染の色目も同様で、
最初は濃く、深みのある色合いも、
日に当たり、手や着物と擦れ、使い込むことにより、
段々と色味が柔らかくなっていく事でしょう。
俗に「藍色が枯れる」という、
この本藍染だけが持つ経年変化の魅力は、
それを持つ人だけが味わえる最大の魅力。
ご縁の合った方は一生をかけて、
一本の帯と共に在る素敵で変化に富む長い月日をお楽しみくださいませ。
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484,000円(税込・反物価格)
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