蝋梅の花を知り、大切なご縁を結んでくれた着姿を。「お客様コーディネイト紹介」
今日はお客様コーディネート をご紹介いたします。
※ご本人様に許可をいただいて投稿させていただいております。
「今日は美濃幸づくしの着物を着ました♪」
との嬉しいメールを、
写真付きで送って下さったお客様。
早いもので10年来ご愛顧頂いている方で、
今もその初めてお逢いした時の事を鮮明に覚えています。
その最初の出逢いの時にお見分けいただいた着物と帯が、
こちらのコーディネート。
蝋梅の雰囲気をそのままに染め上げた附下げです。
そもそも蝋梅を染め上げた着物や帯は珍しく、
私たち本業であってもあまり見かける事はありませんが、
それに加えて、これほどまでに蝋梅の美しさと愛らしさを表現できたものは、
他ではないほどの仕上がりとなっている一着。
私が蝋梅の花を知り、そして今の様に好きになるきっかけであり、
このお客様との最初のご縁を結んでくれた思い入れのある一着です。
こっくりとした、また少し暖色系に振られた灰色の地色の上に、
大胆な構図で蝋梅をろうけつ染めにて仕上げた一着。
衽から身頃にわたって大きく配された蝋梅の構図が絶妙で、
枝振りや蕾の様子を見るにつけ、
きっとこれを染め上げた職人さんも蝋梅の事が大好きなんだろうと思えるほど、
その良さを余すことなく写した仕上がりとなっています。
帯はこの附下げの誂え帯の様にしっくりと馴染む配色に織り上げられた、
織楽浅野さんの九寸帯。
当世具足の糸威をモチーフにして織り上げた一本で、
こちらの着物に対しての色味の調和はもちろんの事、
附下に合わせても遜色のない格調高い文様を織り上げた一本となっています。
私の美濃幸人生において、記憶に残るお見立てがいくつかあります。
こちらのお見立てはそのひとつで、
10年ほど前、今以上に知識も経験もなかった自分が、
緊張しながら精一杯取り組ませていただいた感覚と、
それに対して真正面に向き合い、
お話しを聞いてくださったお客様のお心遣いに対する嬉しい気持ちが思い起こされ、
きもの専門店としての幸せを感じ、これからもこの道を歩んでいく励みとなっています。
「お客様に育てていただく。」
決しておんぶで抱っこではいけませんし、
今以上のご提案やお見立てをさせていただける様に務める毎日ですが、
その様な貴重な体験・経験を重ねる機会をいただける事は、
本当に有難く、感謝の言葉が尽きません。
今の季節感をそのままに、
この方らしい楚々とした愛らしさも表現された、
本当にお似合いのコーディネート。
どうぞこれからも永くご愛用くださいませ。
K様、誠にありがとうございました。
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