霜月の京都雑感。
11月の京都。
今月も思いひとつで京都に出向き、
お世話になっているお取引先の新作を拝見してまいりました。
お客様からのご注文品がある時などは、
その目的を達成するために駆けずり回る訳ですが、
今月はあいにくそうした急ぎの宿題もなく、
フラットな気持ちで各社を回ることが出来ました。
そして、今月は大切な目的がひとつ。
染色家であり、辻が花染の第一人者小倉淳史先生と久しぶりにお会いする事!
この時を数か月間待ち焦がれていました。
小倉淳史先生は、先述の通り辻が花染の第一人者。
京友禅の大家に生を受け、
日々修練を重ねられた小倉淳史が染め上げる世界観は唯一で、
日本工芸会の正会員、そしてその染織部会の幹事を務められている、
染織工芸界の巨匠であります。
当店と深いお取引がある老舗問屋「千切屋」さんが、
長年小倉先生のものづくりを支えられておられ、
私もきもの美濃幸に戻った頃からその作品を目にしては心奪われ、
念願かなって7年前に当店にて個展も開催させていただけました。
重鎮とは思えない気さくで柔らかな物腰、
私の様な若輩にも心を傾けて、どの様な話でも真剣に聞いて下さる姿勢、
そして時代の先を見据えたものづくりをなされているお姿に惚れて、
以来美濃幸好みの一品を置かせていただいております。
物に惚れ、人に惚れ込みんでしまった、
私にとってかけがえのない存在が小倉淳史先生であります。
先日、徳川美術館で観てきました徳川家康公着用の辻が花染小袖や羽織も、
先生が徳川美術館からの依頼のもと復元をされており、
その時のご苦労はなしやエピソード、
そして江戸時代と現代との辻が花染を作る工程の違いも事細かに教えていただけ、
本当に楽しく実りあるひとときでした。
来年は御年80歳を迎える小倉淳史先生。
お元気な姿を拝見しては、嬉しい気持ちになります。
そしてきもの美濃幸も90周年の節目を迎えますが、
その節目の重なりを記念した一着を新たな図案を起こしていただく段階からお願いし、
大変快く受けてくださいました!
私の頭の中に在るイメージをお伝えし、
そこに小倉淳史先生のお力でどの様な一品が出来上がるのでしょうか。
これから図案での打ち合わせや、生地選び、そして地色選びなど、
何段階もの工程を経て、染め上がるのは来年の晩夏になりそうです。
本当に楽しみで仕方ありません!
先生のお元気な姿を拝見し、今も変わらぬ真摯なものづくりへのご姿勢を拝見し、
自分も一層努力を重ねなければならないという思いにさせられた、
充実した霜月の京都でした。

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