和をたしなむ

2022.09.24更新 - 徒然なるままに

最終工程にして、最高の着心地を創り上げる。「手織り紬・結城紬 産地を巡る旅『湯通し』」

 

過日、関東を二日間かけて回った、

 

手織り紬・結城紬 産地を巡る旅

 

序段手織り・手仕事紬の良さを知る。

 

無限に広がる無地紬の色世界「小熊素子」

 

チームワークで仕上げる最高の一反

 

 

さて、

結城紬の産地を巡る二日目。

 

「今日は朝から晴れていて良かった!

 晴れた日の午前中しか見れない所にまずは向かいます!!」

 

「この仕事を見てもらわないと、

 結城に来てもらった甲斐がないというもの」

 

と、

今回産地でのアテンドを務めて下さった、

小倉商店さんの言葉から向かった先は、

結城紬における最終工程、

 

「湯通し」

 

を専門の仕事をされている、

横島紬整理さんの職場です。

 

 

湯通しとは、

結城紬を仕上げる最終工程。

 

字の通り、

織り上げた生地を湯に通して、

糸についている糊や不純物を取り除き、

同時に生地目を揃え、

生地感を決める工程になります。

 

 

結城紬に使われる糸は、

手紡の真綿糸を使っているため、

糸自体が毛羽立っています。

 

そのままでは機織りが困難なので、

織り上げる前に糸に糊を付けて、

糸質を整えてから織り上げるのですが、

この糊は生地の硬さに繋がったり、

カビの原因にもなるので、

お仕立てをする前に、

取り外すという事です。

 

 

ただし、

私たち小売店の売り場にあるものは、

まだ、糊が付いたままの状態。

 

その反物をご購入された方の求める、

生地感や着心地に合わせて、

糊の落とし具合や生地感を調整し、

最高の着心地に仕上げる事が、

横島さんの仕事になります。

 

 

この日は、朝からピーカンの一日!

 

雲一つない青空の下、

ご夫婦でお仕事をされていました。

 

 

一反ずつの生地感を確かめ、

生地目を整えながら、

伸子針を付けていきます。

 

 

これが実に見事!

 

手が早く、等間隔に、

伸子針を仕上げていきます。

 

 

結城紬は手織りなので、

一反ずつ微妙に生地巾も違います。

 

また着物だけでなく帯地もあるので、

必然的に一反ずつの巾は違ってくるのですが、

その生地巾に合わせて、

またその時々の生地の状態に合わせて、

仕事を進めていきます。

 

 

 

 

草木染で行わている結城紬。

 

 

これだけ強い日光の下、

仕事をしていたら、

色焼けしないか心配になりますが、

結城紬は堅牢度が高く、

こうして日光に当てる事で、

 

反対に色合いも深くなるとの事です。

 

 

ちょうど干場には、

洗い張りに出されていた、

藍染の結城紬があったのですが、

色焼けしやすくて有名な藍染も、

結城紬であれば問題ないそうです。

 

「人間は焼ける様に暑いけど、

これでないと生地が良くならない。」

 

と、

大汗をかきながら、

笑顔でお話しされる横島さん。

 

 

その手は美しく、

とても尊いものに感じました。

 

 

湯通しの仕事の大切さを、

改めて実感をした横島さんとの出会い。

 

 

正直なところ、

今までは湯通しなど、

どこに出しても一緒ではないかと、

思っていましたが、

それは間違っている事に気付きました。

 

 

私が祖父から譲り受けた結城紬も、

洗い張りに出す時は必ず、

横島さんにお願いする事に決め、

これからご縁を頂くお客さまにも、

この大切な仕事をお伝えしていきたいと思います。

 

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