和をたしなむ

2022.09.22更新 - 徒然なるままに

無限に広がる無地紬の色の世界。「手織り紬・結城紬 産地を巡る旅『小熊素子・手織り紬』」

 

過日、二日間かけて回った、

 

手織り紬・結城紬 産地を巡る旅

 

序段手織り・手仕事紬の良さを知る。

 

 

まず一日目に伺った先は、

東京で手織り紬を製織されている、

小熊素子さんの工房。

 

閑静な住宅街のなかで、

糸染から機織りまで、

ご自身の身一つで行われています。

 

 

小熊素子さんは、

郡上紬の人間国宝「宗廣力三」に師事。

 

草木染と手織り紬の基礎を学び、

独自の世界観を広げ、活動をされています。

 

 

制作される手織り紬は、

すべて、ご自身で草木から糸染をし、

織り上げるものは、無地縞格子のもの。

 

 

この基礎の部分は、

宗廣力三氏から学ばれたものをしっかりと継承しつつも、

現代の感覚に合ったもの、

 

また女性らしい感性を持った柔らかな織り上がりのものを、

日々、機に向かいながら、丁寧に製織をされています。

 

 

工房の棚には、

今まで染め上げてきた草木染の糸たち。

 

機織りのすぐ横にある棚を見ながら、

また糸たちも機織りする小熊さんの姿を見て、

いつかは糸から布へと変わる時を、

待ち遠しく思っている様子です。

 

 

そのなかでも、

特に気になる糸を拝見。

 

 

左のグレイッシュな糸は、

薔薇を使い染め上げた糸束。

 

実はこの薔薇染の糸との出会いが、

小熊さんと私を結び付けてくれました。

 

 

2年前、紬問屋さんの新作発表会で、

何気なく掛かっていた反物に心奪われ、

その作者を聞いたら小熊素子さん。

 

 

あの時の感動は、

今も鮮明に覚えています。

 

 

薔薇を使うというのも珍しいのですが、

このグレイッシュななかにある、

暖かな色味がとても好みで、

無地で織り上げた、

織段ひとつひとつに表情が溢れており、

それが小熊素子さんらしい作風へと、

繋がっています。

 

 

工房の玄関に薔薇が咲いていたので、

もしかしてと思い、

 

「糸染用の薔薇は、玄関のものですか?」

 

と尋ねたら、その通りとの回答。

 

 

私が惚れた染色の原点に出逢う事が出来て、

これだけでも工房に伺った甲斐が

あるというものです。

 

 

その日、機に掛かっていた無地紬も、

私惚れたものと同じように、

表情豊かな織り上がり。

 

 

その理由のひとつに、

緯糸に単色ではなく、

微妙に違う多彩な色糸を使い、

織り上げているからとの事。

 

 

この機に掛かっているものでも、

微妙に違う7色を使い、

ひとつの色に仕上げていました。

 

 

仕事の話をしつつ、

取り留めもない話で盛り上がり、

お嬢様やお孫さんの振袖の話も聞かせて頂き、

最後には私の角帯をお願いをする事に。

 

 

大体の色感覚だけすり合わせて、

あとは小熊素子さんにお任せしました。

 

 

「時間だけは約束できないから、それだけは許して下さいね。」

 

との事でしたが、

まったく問題なし!!

 

気が向くときに織って頂けたら、

それが一番嬉しいとだけ伝えました。

 

 

二反と同じものが出来ない、

草木染と手織り紬の深さを、

改めて実感することが出来た、

小熊素子さんの工房見学。

 

それをお客さまにお伝えする際の、

一段深みを知る事が出来ました。

 

 

その日は小熊さんの工房でお仕舞。

 

 

次の日の見学先である、

結城紬の産地、小山市に向かいます。

 

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