振袖を扱わせて頂ける、きもの屋の幸せ。
七五三に続き、振袖のご相談も増えてくる季節です。
掛からせて頂いているご相談のひとつは、
お母様がお召しになられた振袖を、お嬢様にお見立て替えをすること。
最近流行りの「ママ振袖」というものです。
新型コロナ禍が流行る前、三月初め頃から掛からせて頂いており、
その際にお母様がお持ちになられた、振袖や袋帯たちと対面しました。
この振袖一式は、祖父がお見立てをさせて頂いたもの。
振袖は別誂えで染めたものだと聞きました。
20年前とは思えない、鮮やかで現代的な雰囲気を感じる、
エメラルドグリーンの地色に染め上げ、その柄付けはしっかりとした京友禅の仕事。
身頃だけでなく、衽から衿、各袖まで、
細かで、晴れやかな手刺繍が施された逸品。
見ているだけで、惚れ惚れとし、当時の仕事の凄みを感じています。
こちらをお見立てされた祖母様もご一緒にお越し下さり、
当時の想いで話に華が咲く事も、
代々、商いをさせて頂いている着物専門店ならではのことです。
「新しい振袖の仕事でなくてごめんね。」
と、祖母様が仰ってくださいましたが、
正直なところ、きもの屋としては確かにその通り。
仕事が減り、職人が減っている今、
一着でも多く仕事を出すために新しい一着を買って頂く努力を、
最大限にする事が商いの務めならば私は落第なのですが、
ご覧の通り、素晴らしい仕事がされた一着を前にすると、
この晴れ着を今の時代に即し、またお嬢様がお似合いになる様に、
精一杯のことをさせて頂く事も、
代々商わせて頂いている着物専門店の務めなのだと、
祖母様や母様、お嬢様の笑顔を見てひしひしと感じています。
ハレの日を彩る衣裳を扱い、それを任せて頂けることは、
きもの屋として何よりも嬉しい事であり、一層の責任を感じる仕事です。
当店が得意としている、紬や小紋などの普段着着物とは違う、
喜びと責任感を感じ、それが仕事の励みになります。
振袖を扱わせて頂ける、きもの屋の幸せ。
噛み締めながら、しっかりと仕事をしていきたいと思います。
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