木綿の原点を感じ、その美意識に触れる一反。「久留米絣「小川内龍夫・藍染・十字絣」」
今月の特集、
「普段着きものに向く、美濃幸好みの木綿着物」
先週までご紹介を続けてきました「丹後木綿」。
今日ご紹介する一反は今までのそれとは一味違う、
木綿織物の原点と、「ケの美」を感じる一反です。
久留米絣「小川内龍夫 藍染 十字絣」
木綿織物、木綿着物の祖ともいえる、
九州の伝統工芸品「久留米絣」。
そのなかでも、
圧倒的なものつくりに力を発する、
重要無形文化財技術保持者である、
「小川内龍夫」さんが手掛けた一反です。
重要無形文化財技術保持者とは、
「人間国宝」のこと。
久留米絣の部門で、
その確たる技術を保持され、
また後進の育成をされています。
木綿織物、木綿着物の原点は、
「藍染め」にあると、私は考えています。
木綿が日本に渡ってきたとされるのは、
最初は奈良時代とされており、
その時は日本に根付くことなく廃れたそう。
渡ってきたところは、
私たちの地元愛知県の西尾市近辺だったそうです。
それから時代が経て、
日本で本格的な綿花の栽培が始まったのが、
江戸時代になってからの事。
当時、衣類などの染色に使われていた、
藍染めとの相性も良く、
手拭いなどの小物染物などから、
爆発的に流行したとされ、
「木綿」×「藍染め」が、
日本の気候風土、生活様式、文化、
それらを総じての「ケの美」として定着していきました。
全国各地で綿花の生産、
綿糸の活用と藍染めが広がり、
その土地土地で根付いては培われていき、
この久留米絣が一大産地なったのは、
1800年台になってからの事。
久留米絣の定義となる、
1 手括りの絣糸の使用。
2 天然藍染めによる染色。
3 手織り機を使い織り上げる。
が根幹となり、
今なお根強い人気を誇る木綿織物であり、
普段着着物に向く木綿着物となりました。
こちらの一反は、
その久留米絣の魅力をシンプルに、
そして最大限に味わえる織り上がり。
男女問わず、また気兼ねなく袖を通せる、
程よい大きさと間隔を持った、
30カマの十字絣が魅力的です。
そして生地感は、
木綿の魅力を存分に味わえるもの。
丹後木綿とは違い、
地厚な織り上がりを持ったこちらの一反は、
誤解を恐れずにいうのであれば、
まだ、未完成の一反。
この一反に見惚れ、
袖を通したと思われた方が、
何度も袖を通し、着こなしながら汚れては解き、
洗い張りをして、仕立て直しをし、
そうした事を何度も繰り返すうちに、
最初は厚くて硬かった地風が段々としなやかな質感へと変わり、
極上の木綿の生地感を味わう事が出来た段階で、
この一反は本当の完成となります。
すぐに着れる。
すぐに楽しめる。
そうした今の風潮とは逆行する一反ですが、
大好きな一枚の布と共に、
長い月日を過ごしていく楽しみ方は、
手を掛けて作られた一反だからこそ味わえる、
価値あるものとなることでしょう。
木綿の原点を感じ、
その美意識に触れる楽しみを。
その魅力を感じ、お楽しみ下さいませ。
《掲載商品詳細》
久留米絣「小川内龍夫・藍染・十字絣」 154,000円(税込・反物価格)
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