物の力、物作りの偉大さを感じる。
6月に入って早いもので半月が過ぎ、
月初めに京都で見てきて、追加で注文した夏衣が店に届き、
それらの一品たちを、
今まであったきもの美濃幸の着物たちと合わせ、
コーディネートをする日々。
今回は女将と二人、一点ずつ吟味をしたこともあってか、
どの帯とも、どの着物とも、一発で馴染むものばかり。
「やっぱり良かったね!!」
と女将と二人、品々を目の前に満足をしております。
そうした一品たちを、追加し、
またコーディネートを掛け替えた壁面はこちら。
より一層、透け感のあるもの、
より一層、強い日差しに応える色、
6月になったので、
「夏の涼感」や「夏の季節感」をより意識して、
壁面の模様替えは完了。
梅雨入りの声も聞こえ始めるこの頃、
もうそこまで来ている夏の訪れを、
着物の色柄と共に感じて頂けたらと思います。
反対からの一枚はこちら。
紫の地色に、桔梗の紫が美しい、
夏絽の九寸名古屋帯が映えるコーディネート。
「日本の夏って本当に美しいな。」
と無条件で感じて頂けるであろう、
染め帯の力と、それを受け止める夏絹の底力を感じる、
きもの美濃幸好みの組み合わせが出来ました。
それにしても最近は、
「物の力」というものをひしひしと感じる事があり、
着物屋として、そうした一品たちに出逢えること、
そのものを自分の店に置けることは、
何にも代えがたい有難いことと、つくづく思います。
「日本の物作りが衰退した。」と言われて久しいですが、
着物業界に限っていえば、確かに30年くらい前と比べれば生産反数も激減し、
身近に触れる事の出来るレベルでの、「これは!」というものは、
少なくなっています。
呉服屋仲間との会話も、そんな話ばかり。
私のお仲間たちは皆さま、
お客様に喜んで頂ける良いものを探すために、
足を棒にして町中を歩いています。
ただ、日本の物作りの力は偉大で、
その様な中でも、確かな技術と先見の志をもとに、
素晴らしい物作りをされている方々も、
まだまだ居られるというのが、私が日々感じること。
この「しな布」のバッグもそんな一品です。
日本三大古代布のひとつに数えられる「しな布(科布)」。
このバッグは贅沢にも、そのしな布の八寸名古屋帯を裁断し、
バッグの表生地に加工をしたもの。
華美な部分は一切ありませんが、
どこか心を惹きつけるものがあり、
それが「物の力」だと私は思っています。
店の壁面に置き始めて、約2週間が経ちましたが、
お越しになるほとんどの方が手に取り、
何かしら、心動かされるものを感じているご様子。
セールストークやポップなど、
売り手がしようとする余計なものは一切不要、
そのもの自体が、お客様の心に何かを届けているみたいです。
物を作り続けて下さる皆さまがあってこそ、
そのものたちを届けて下さる皆さまがあってこそ、
私たちは着物屋を商うことが出来ている事に心から感謝をして、
だからこそ、それをお客様にお見せする私たちは、
真剣に物に向き合っていきたい。
とはいえ、
お客様にはそんな堅苦しいことだけではなく、
自由な心で着物を楽しんで頂ける様な店で在りたいと、
改めて思わせてくれた、6月三週目のはじまりでした。
- 2025.01.09 1月13日(月)~31日(金) きものクリーニングキャンペーン 開催します。
- 2025.01.06 2025年1月の定休日・和のコト教室(着付・茶道)開催日のご案内。
- 2024.12.19 2024~25年 年末年始休業日のお知らせ。