男のきものを嗜む。「羽織紐のこと」
暦の上では冬から春に移り、
私のワードローブである「着物」は衣替えとまではいきませんが、
コーディネートする色などを「春色」へと変えていっています。
長着は春らしい明るめの色目を中心に、角帯は一色軽やかなものをコーディネート出来る様に、
女性の着物のように、男の着物には文様は少ないため、柄で季節を楽しむことは難しいのですが、
こうしたコーディネートの色や、半衿の色を変えるだけで、手軽に季節を楽しむことが出来ます。
そんなことを想いながら先日、羽織に付く「羽織紐」を明るい色に付け替えました。
羽織紐はその名の通り、羽織に付く紐の事ですが、
色数が少ない男の着物にとって、貴重な色で遊べる部分。
洋服でいうところのカフスやタイピンで色を挿したり、遊び心を取り入れる様に、
比較的自由に取り入れることが出来ます。
私が付けたものはこちら。
江戸組紐の名店「龍工房」さまのもので、ブルーグレーの地にうっすらと挿された桜色が、
なんとも清々しく、春らしさを感じる組み上がりで、私のお気に入りの一組。
用途的にはカジュアル~セミフォーマル向きですので、
不祝儀以外では、これで大体済ませることが出来そうです。
そして写真でもわかる様に、私は羽織紐は「直付け」が好き。
直付けとは、
羽織側に付いている羽織紐を通す布の輪「乳(ち)」に直接取り付ける事で、
羽織紐にはこの直付けのタイプと、S鐶の金具で付けるタイプと、
大きく分けて2タイプあります。
なかには、「直付けが正式。」と言われる方もおられるみたいですが、
私が調べたところでは、決してそうではない様で、
幕末頃にこのS鐶のものが便利という事で流行をし始めたそう。
結局のところ、どちらでも自分が使いやすい方を選択すれば良いだけの事で、
私の場合は、直付けしていれば乳が切れない限り、紐が取れることが無い事と、
紐を結ぶときの感覚と時間が大好きで、こちらの方を選んでいます。
という事もあり、当店に置いてある羽織紐のほどんど直付けのタイプ。
「紐を結ぶのは難しい。」と言われますが、これも決してそうではなく、
数回練習すれば誰でも簡単に結べる様になります。
S鐶の方が機能的っぽいですが、
私的には実際には着用中に取れてしまう事が多いので、
直付けの方が結果的には機能的だったりします。
とはいえ、先に書いた通り、
どちらでも自分のスタイルに合ったものを選べば、それが自身にとってのベスト。
二本の紐(一本のものもありますが)で、男の着物を心からお楽しみください。
- 2025.02.17 2月20日(木)~25日(火) きものリメイクご相談会 開催します。
- 2025.02.05 2月6日(木)~28日(金) 春の帯専科(10%OFF+お仕立てサービス) 開催します。
- 2025.02.01 2025年2月の定休日・和のコト教室(着付・茶道)開催日のご案内。