男のきものを嗜む。「裏勝りの大島紬袖なし羽織」
3月に入り、桃の節句も終え、日に日に春本番を感じる頃、
今日もそんな春の訪れを感じさせてくれる、強い春一番が吹いています。
この風が止むころ、桜満開の到来が待ち遠しい今日この頃です♪
そんな春の一日、
冬の間お世話になった「結城紬の袖なし羽織」から「大島紬の袖なし羽織」へ、
普段着用として使っていた羽織の衣替えをしました。
以前までは、店にいる時は羽織を着ない「着流し」スタイルでいたのですが、
羽織は洋服でいうところの「ジャケット」と同じ。
お客様を迎える側からすれば、羽織姿が明らかに筋なので、
よほどの時やコーディネートの都合が許す限り、羽織を羽織る様にしています。
普段は木綿の着物が多いので、伊勢木綿と合わせるとこの様な雰囲気に。
大島紬は軽やかな素材感が特徴なので、
これからの季節にはとても心地よく袖を通すことの出来る素材のひとつです。
男の羽織といえば、「羽裏(羽織裏)」が決めどころで、
「裏勝り」という言葉あります通り、
表地が無地や縞格子などのシンプルな男着物は、
「裏地(羽裏)で遊び、粋に魅せる。」
というのが、肝になる訳ですが、
この大島紬の羽裏も、こんな愛嬌のある凝ったものが付けて在ります。
絞りで「そら豆」が表現された羽裏。
大きさといい、かたちといい、
私の萌えポイントのどストライクを行く羽裏が付いています♪
ちなみにこの羽織、祖父が愛用していた大島のアンサンブルの羽織の方を、
私が着るにはどうしても裄が足らないため袖だけ取って使っているものです。
最近の男物の羽裏といえば、コストを抑えた無地やシケ引きのものが多く、
この様な絞りなど凝ったもの自体少なく、あったとしても表地よりも高価だったりします。
「見えないものだから」
と、裏地は無地にされる方も多く、
またその方が、スーツ感覚で楽しむ事が出来るのも正直なところですが、
先にも書いた様に、「裏勝り」という和装らしい楽しみ方は、
凝った羽裏の様な所にこそ、在るのかも知れません。
男性の着物の場合、お気に入りの羽織、使い回しのしやすい羽織が一枚あると、
下に着る長着の種類はあまり問わず、幅広いTPOで応用の効く一枚が出来あがります。
一着きちんとしたジャケットを誂えれば、着回しがきくのと同じことです。
皆さまもそんな一枚と共に、春の着物の季節を自分らしくお楽しみ下さい♪
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