和をたしなむ

2017.12.20更新 - 八寸・九寸(名古屋帯)

結ぶ心とともに。~染の川勝 塩瀬九寸名古屋帯「結び紐」~

 

年末年始がみえる頃になると、初春に相応しい一品を見分け、

店に置きたくなるのが、着物屋としての心情で。

 

干支のもの等の季節の柄のものを含めて、

夏の終わりの十月の新作発表の時に「らしい一品」を探すのですが、

今年出逢った一品は、この様な、印象的な塩瀬帯でした。

 

 

染の川勝謹製 塩瀬九寸名古屋帯 「結び紐」

 

京染の老舗にして名店、「染の川勝」さんの秋冬の発表柄、

結び紐」を染め上げた九寸名古屋帯です。

 

 

年始にお楽しみ頂ける染帯を。

 

と探して歩いている時に出会ったものが、この塩瀬生地の染帯で、

よくある「干支柄」も私の選択肢のひとつだったのですが、

この結び紐の描き方や、配色、動きのある構図に惚れてしまい、

店に掛ける事の叶った一品となりました。

 

 

縁を結ぶ。

帯を結ぶ。

 

と、華やぐ初春の頃に結ぶ帯として、

申し分のない図案であり、ネーミング。

 

動きを感じる構図と染め上げは、

「流石、染の川勝!」と言えるだけの染め上がりになっています。

 

 

彩色に使われる色々は、

結び紐といった古典的な図案ながらも、

モダンな色使いが印象的。

 

 

ボルドーのような、濃紫のような、

濃色ですが決して黒ではない良さのある地色と相まり、

紐柄のスカイブルー・エメラルドグリーンが、一層際立って見えます。

 

 

こうした配色の妙は、最近の染の川勝さんの特徴のひとつで、

老舗と言えども過去に囚われ過ぎず、常に前を向いた物作りをされ、

「今」に即し、それを感じる事の出来る一品を生み出す御力は、

お手に取り、お召しになる皆さまにも届いている様子。

 

心に届く一品たちは、着物を装う心を盛り上げてくれます。

 

前腹の様子はこちら。

 

 

違う図案を使い、別腹で染め上げた前腹は、

その時の気持ち」や「合わせる長着」により使い分けをして、

お召しになる皆さまの心持と共に、自由にお楽しみ頂けたら何よりのことです。

 

こうした図案の自由度の高さは、染帯ならではの楽しみ方です。

 

 

余談ですが、でもある意味本題ですが、

私は「結ぶ」という言葉が大好きです。

 

帯や帯〆も「締める」ではなく、「結ぶ」と言いますし、

物や人の「ご縁を結ぶ」事や、そのお手伝いが出来る事は、

自分にとって何よりも幸せなことです。

 

この帯も、そうした色々な結ぶことが好きな方に、

晴れやかな気持ちと共に結んで頂ける事に想いを馳せながら。

 

素敵なご縁が繋がり、結ばれていきます様に。

 

 

《 掲載商品詳細 》

染の川勝 塩瀬九寸名古屋帯「結び紐」(絹100%) 160,000円(税別・未仕立て品)

 

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