和をたしなむ

2021.10.09更新 - 徒然なるままに

親から子へと受け継がれる愛情を一着の着物に込めて。「七五三のお仕立て直し」

 

10月の特集、

 

「秋袷に向く、美濃幸好みの紬」

 

をご紹介する前に、

七五三のお話しを進めております!

 

 

紬が気になる皆さまも、

今しばらくお付き合いのほどお願いします。

 

 

昨日のコラムにて、

誂えの産着や七五三の祝着の話をしました。

 

 

でもそれ以外にも、

親から子へと受け継がれる衣裳を、

お見立てさせて頂く事も、

着物専門店としての大切な仕事。

 

今日も一揃え、

来たるハレのひとときに向けて、

そうした着物をご納品しました。

 

 

着物と長襦袢は、

お母様が七五三の時にお召しになられたもの。

 

 

小柄なお子様という事もあり、

寸法的にも問題なくお着せ出来る事を、

着物と実寸から確かめた上で、

 

元々あった肩揚げと腰揚げを解き、

目立つ染み抜きなどをしたのち、

お子様のご寸法に合わせて、

揚げ直しをしました。

 

 

肩揚げは、ギリギリでしたが、

充分様になるようにして。

 

 

腰揚げは十分な付ける事が出来ました。

 

 

古い着物は、

どうしても反巾が狭く作ってあるので、

最近の手足が長いお子様に着せると、

寸足らずな感じになりがちですが、

 

七五三の着物に関して言えば、

肩揚げと腰揚げを上手に作る事で、

解いて仕立て直す事をしなくても、

直せることが多かったりします。

 

 

それにしても、本当に素敵な配色。

 

 

もちろん、時代は感じますが、

それ以上に、上品な品格を纏った一着です。

 

そして、大事にされてきた事が、きものから伝わってきます。

 

 

このお客様ともお話をしていたのですが、

 

きもの屋として、

新しい着物を誂えもらってこそ、

自身にとっても、産地や職人にとっても、

何よりも有り難い事に違いないのですが、

 

こうして、

年月を経ても愛されている一着を前にすると、

そうした想いとは別の、でも間違いない、

着物専門店として喜びや嬉しさを感じます。

 

 

この一着を誂え下さった、親御さんの想いや、

 

この一着を選んだ、きもの屋さんの想い、

 

この一着を仕上げた、職人さんの想い、

 

そうした時代を経ても変わらぬ愛情というものを、

大切にされて、たとう紙に仕舞われていた、

着物たちから感じ、それが何よりも嬉しいです。

 

 

そんな色々な想いを感じながら、

また、そうした事を知らせてくれる事に心から感謝をしながら、

ハレのひとときを無事に、楽しい思い出と共に迎えれる様に、

一着ごと、精一杯努めたいと思います。

 

 

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