秋の季節感を磨かれた美意識と共に。「小倉淳史 九寸名古屋帯~つゆ芝に楓・イチョウ 辻が花~」
四季折々の美意識を、
自身の個性と共に身に纏う事が叶う、着物の美しさと魅力。
深まる秋の頃は、色も景色も日一日と様変わりしていき、
その楽しみも一際の事と思います。
そんな彩り鮮やかな季節に、
私が愛してやまない作家の帯が入荷しました。
小倉淳史 九寸名古屋帯 「つゆ芝に楓・イチョウ 辻が花」
このコラムでも度々登場をし、その度に私の想いを文字にしていますが、
洗練された美意識と感性を持ち、伝統に最大限の敬意を払い古典的なものに即しながらも、
とてもモダンな色彩感覚で心を掴んで止まない染色家、小倉淳史先生の作品です。
今までも、帯から訪問着など、色々とご紹介をししてきました。
詳しくはこちら
《完売御礼》九寸名古屋帯「菊に小菱散らし 辻が花」→美意識の極みの世界を。
訪問着「流水取りに兎・葵・露芝 辻が花」→一色に作り手の心を感じる。
小倉先生の経歴や、氏に対しての私の想いなどは、
↑の過去のコラムをご覧頂くとして、
今日ご紹介する一品は、
8月頃に小倉先生の作品を一手に扱う懇意の問屋さんから、
「美濃幸さん、秋に最適でお好みの品が上がりました。」
とのお声を掛けて頂き、一目見て仕入れをしました、
小倉先生の作品では毎回同じ、二つ返事での仲間入りとなった一品です。
露芝の流れの中に、楓・銀杏といった秋を感じさせる柄を一針一針ごと絞っては柄を施し、
また銀杏の一部はカチン染で繊細な柄表現がなされ、小倉辻が花の世界観が広がります。
辻が花とは、
室町時代中期~江戸時代初期の間に制作をされた染物(小袖)のことで、
本来は技法というよりは、呼称に近かったのではと思われます。
まだ友禅技法が確立する前、
柄を成し、色を染め分ける染色技法は絞り染が最たるもので、
より繊細な輪郭や、細やかな色の表現が成されたものが、
その時代の権力者、戦国武将たちの心を掴んだのではないでしょうか。
その後の辻が花は、徳川家康の死去と共に表舞台から姿を消したのですが、
京都で130年以上も続く染色家、小倉家の四代目当主である小倉健亮氏の下で大華を成され、
その子である、小倉淳史氏へとその技術と美意識は受け継がれてきました。
小倉淳史氏が手掛ける一品は、着手を美しくする事に心血が注がれ、
決して作り手だけの技法や技巧に走らず、着手あってこそ想いが宿っています。
それと共に、これも何度も書いていますが、
私がいつも一品に向き合い想う事は、選び抜かれた色の素晴らしさ。
伝統的なものを大切にしつつも、
現代の女性、感性を磨かれた方の心を掴んで止まないものが、
そこにあります。
こちらは前腹の様子。
日本の四季に想いを馳せ、日本の色に敬意を払い、
その感性に共感する全世界の女性の心をいつの時代も掴んで止まない、
小倉淳史氏の感性と、色の世界観。
一本の帯を通して、そんな一人の染織家の美意識を感じ、
共感して頂ける方を作る事が出来れば、着物屋として何よりの事だと思います。
《掲載商品詳細》
小倉淳史 九寸名古屋帯「つゆ芝に楓イチョウ 辻が花」 190,000円(税別・反物価格)
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