帯の雰囲気、紬の風合いが合わさる時。
10月は、
サロンスペースの入り口に、
洛風林さんの九寸帯を掛けています。
洛風林さんらしい織り上がりの一本。
オスマンの花柄を織り上げた、
洋の東西を問わない美しさを持った、
私も大好きな一本です。
詳しくはこちら→洛風林の帯「九寸・オスマン花文」
日が段々と傾き、
今まではこのサロンスペースの入り口からは、
陽射しが射し込まなかったのですが、
今日の午前中あたりですと、
程よい加減で秋の光が射し込み、
帯の雰囲気を持ちたててくれています。
ただでさえ、絹の風合いが美しい一本。
自然の光を受けるだけで、
その輝きが一層増して見えます。
この一本、
どちらかというと、
セミフォーマルな印象を持つ一本で、
以前は綺麗目の飛び柄小紋に合わせて、
コーディネートをご提案しました。
でも、
今日は少し趣を変えて、
カジュアル傾向のコーディネートを、
ご提案したいと思います。
合わせた着物地は、紬生地。
信州で製織活動をされていた、
廣瀬草木染織工芸さんが手掛けた、
信州飯田紬の一反です。
「されていた。」
そうなんです。
ほぼご夫婦でされていた廣瀬さんですが、
本格的な製織活動は止められたとの事。
9年前に、
廣瀬さんの工房に伺い、
その織りの現場を拝見して以来、
廣瀬さんが手掛ける飯田紬には、
惚れ込んでいた、私。
その時の様子はこちら→絹味を追い求めて。
この報に触れた際も、
心から悲しい気持ちを抱きつつ、
反面、織の現場の厳しさも、
自身の目で見てきているので、
とうとうその時が来てしまったという、
寂しさも感じていました。
幸いにも、
手元に廣瀬さんの飯田紬は、
何反かあります。
ご縁のあった皆さま、
廣瀬さんの風合いが好きな皆さまに、
お届けする事が叶えば、
私としても嬉しい限りです。
さて、
コーディネートの方はというと、
当店にしては珍しい、
帯と長着が同系色の合わせ方ですが、
洛風林さんの帯の個性が、
良い具合に立っており、
飯田紬の良さを引き立ててくれています。
↑のリンク先、
廣瀬さんの工房に伺った際の、
廣瀬さんご自身の言葉にもある、
「絹味を求めた織物」
という事が、
同じく、素材を活かすための、
色柄や織り上がりを求めている、
洛風林さんの帯とは、
自然と相性が良いという雰囲気。
紬織と西陣織。
同じ織物といえども、
まったく違った風合いのものですが、
ものつくりのかける想いは同じであり、
それが相性の良さに繋がっている様です。
着姿が平坦にならない様に、
帯〆は少し濃い目、でも少し細めの
紺色のものを合わせて、
帯周りに肝を作りました。
きものと在る時間が、一層心地よい、秋の季節。
皆さまもお気に入りの着物や帯と共に、
素敵なひとときをお過ごし下さいませ。
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