和をたしなむ

2019.10.01更新 - 徒然なるままに

自宅で衿拭きをする時のポイント!「9/22(日)開催 プロが教える衿拭き講座から」

先月開催しましたトーク&実演イベント、

 

「 プロが教える衿拭き講座 

 

の中で、

皆さまにも実際に自宅で行って頂ける、

「衿拭き」や「袖口拭き」をまとめてみました。

 

 

写真と文章なので全てが伝わるかは分かりませんが、

すべては自己責任という事をご理解の上、興味のある方はお試し下さい!

 

 

 

まず、衿拭きに必要な道具は、

 

ベンジン 「薬局で400円程で販売しています。」

 

タオル 「衿拭き用の小サイズと、下敷き用の大サイズ」

 

ガラス板 「あればベスト! 下に敷くと溶剤で机を痛めません。」

 

 

歯ブラシ 「新品を用意」

(使用済は歯磨き粉の研磨剤が残っている可能性があるので不可)

 

この4点。

 

 

ご自身で行わない方が良い着物(加工)の種類は、

 

1.泥染大島紬 (薬剤で泥が動く可能性有)

 

2.紅型 (薬剤で顔料が動く可能性有)

 

3.黒紋付 (薬剤で黒染料が動く可能性有)

 

4.金彩 (薬剤で金彩が動く可能性有)

 

どれもベンジンを使うことで、

着物の加工が痛む可能性があります。

 

刺繍などの浮いた加工も、

素人がするには向きませんのでご注意下さい。

 

あと、用意する上で必要なものは、

 

やってみようと思う「好奇心」と「度胸」

 

これ、結構大事です!!(もしかして一番大事かも)

 

 

続いて、必ず注意して欲しい事は、

 

換気の出来る場所で作業をする事!!

 

使用するベンジンは、

人体に少なからず悪影響のあるものなので、

風通しの良い部屋で作業をする事、

そして、下に溜まりやすい性質があるので、

 

お子様、ペットなどと一緒に作業をしない。

 

という事を心掛け下さい。

 

 

 

衿拭き・袖口拭き、裾拭きなどを綺麗にするポイントは、

以下の4点です。

 

1、ベンジンをケチらず、沢山使う事。

 

2、広く、全体的に拭く作業をする事。

 

3、ドライヤーは必ず冷風を使う事。

 

4、乾かす際は、外から中に乾かす事。

 

です!

 

この4点を確実に行う事で、

自分でした時に失敗する事が多い「輪ジミ」を、

防ぐのに有効なポイントになります。

 

 

この輪ジミは、

あとで自分で直そうと思うと結構な手間が掛かってしまうので、

出来る限り出来ない様に心がける事、

もし出来てしまい、自分で直せ無さそうな場合は、

決して無理はせずに、専門の悉皆屋さんにお願いして下さい。

 

 

 

では、順番に説明をしていきます。

 

まず、

 

1、ベンジンはケチらず、沢山使う事。

 

ですが、

慣れない方がする時、

一番の失敗する(輪ジミをつくる)原因はここにあります。

 

衿拭きをする際は下の写真の様に、

衿をお腹ではさみ生地を張り、

 

名古屋市中村区きもの屋3代目若だんなの徒然日記

 

これくらい、生地がしっかりと湿るまでベンジンを使います。

 

 

あとで調べてみましたら、今回の衿拭きのみの実習で、

一人約100mlのベンジンを使用しました。

 

衿を拭くだけでもそれくらいは使うのだと、

目安にしてもらえればと思います。

 

 

そして、

 

2、広く、全体的に拭く作業をする事。

 

ですが、

これも上の写真でご覧いただける様に、

衿を拭く場合には、

 

掛け衿全体を一度に拭く。

 

という事を意識しながら行って下さい。

 

この工程の際に、特に汚れが酷い箇所について、

歯ブラシを使って部分洗いを行います。

 

これもタオル同様、滴るほどベンジンを付けて、

2~3往復程、軽く擦って下さい。

 

歯ブラシの使用は、あくまでも「汚れが酷い場合」です。

 

それも既にベンジンで汚れは浮いている状態なので、

本当に軽く擦るだけで大丈夫。

力を入れて擦ったり、何度も繰り返すと、

生地を痛める事に繋がりますのでご注意ください!

 

 

タオル、歯ブラシ共に、小さく、細々と拭いていると、

それも輪ジミを作る原因となりますので要注意ポイントです!

 

 

3、ドライヤーは必ず冷風を使う事。

 

については、

使用する溶剤「ベンジン」は、

とても揮発性の高い薬品になります。

 

温風ドライヤーの様に熱を持つ物質に触れると、

一気に火が立ち上りますので、必ず冷風を使って乾かす様にして下さい。

 

 

最後、

 

4、乾かす際は、外から中に乾かす事。

 

については、

下の写真の様に、

 

名古屋市中村区きもの屋3代目若だんなの徒然日記

 

外側から内側に向かって、冷風をかけて乾かしていきます。

 

これも、輪ジミを作らない為の大切なポイント。

 

ベンジンで濡らした箇所の中心に向かって、

ドライヤーをかける事を意識して下さい。

 

また、縫い目にはベンジンが溜まりやすいので、

念入りにドライヤーを掛ける事を心掛けて下さい。

名古屋市中村区きもの屋3代目若だんなの徒然日記

 

裏側も忘れずに。

 

男物の様なバチ衿の場合は、

剣先や前身頃との縫い目からドライヤーの風を送ると、

衿の重なった部分の乾燥が早く済みます。

名古屋市中村区きもの屋3代目若だんなの徒然日記

 

以上が、自宅で衿を拭く時のポイントになります。

 

 

一度慣れてしまうと、結構簡単に出来る事が分かります。

 

ただ初めてする時、最初の一枚はどうしても緊張すると思いますので、

実験的にする事が許される着物で行うと、要領が分かるかも知れません。

 

 

日ごろのお手入れが自分で出来ると、

きものを着る機会や幅が一気に広がります。

 

 

そして何より、自分の着物に対する愛着感や、

大切にする想いが、もっともっと、深まるはず。

 

 

そこに若だんなが思う、

 

普段からきものを着る楽しさ。

 

のひとつがあります。

 

 

皆様も機会がありましたら、ぜひ一度お試し下さいませ。

 

 

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