和をたしなむ

2022.02.01更新 - 徒然なるままに

自身の仕事の原点を知る事。「蚕 絹糸を吐く虫と日本人」

 

子どもたちとの週末の楽しみ、

「図書館通い」。

 

今年も引き続き楽しみながら、

心の向く一冊を読んでいます。

 

 

2022年の一冊目はこちら。

 

 

蚕 絹糸を吐く虫と日本人 畑中章宏 著

 

 

日本における養蚕や生糸貿易産業、

それにまつわる民俗学をまとめた一冊。

 

大変読み応えのある一冊でした。

 

 

製糸業、養蚕業、生糸貿易は、

日本の明治維新を支えた当時の基幹産業のひとつで、

最初は欧州と比べて品質に劣る生糸を、

たゆまぬ努力により最高品質まで至り、

それによって、当時の日本人の生活水準は、

格段に上がっているとされています。

 

 

私も8年前に当時の一大産地である伊那谷~岡谷に行き、

その歴史や現状を勉強してきました。

 

《その時のブログ》

 

宮坂製糸場にて糸繰を学ぶ。1

 

宮坂製糸場にて糸繰を学ぶ。2

 

蚕という生き物。 駒ヶ根シルクミュージアム

 

証紙に見る日本の誇り

 

 

この一冊の帯にも書いてありますが、

 

「明治から昭和の初めまでの短いあいだ、

 蚕と日本人の関係は驚くほど濃密なものだった。

 

 日本の歴史のうえで、

 この様な関係を取り結んだ生きものはほかになく、

 似たような産業もほかに例がない。」

 

との通り、

古くから日本の風土に馴染み、

また民俗や風俗、信仰に至るまで、

深く根付いた「養蚕」というものが、

一気に大花となり開花し、

またその大花が一気に収束していく様は、

ある種、異様の様にも思います。

 

 

お客さまとの会話の中でも、

 

「うちの実家は長野県で、小さい頃は屋根裏でお蚕さんを飼っていた。」

 

という事は、時々耳にします。

 

それも決してご高齢の方ではなく、50~60代の方からも、

そのようなお声を聴くという事は、決して「昔」という訳ではない様に思います。

 

 

今やその蚕糸業は見る影もなく、

現代に生きる多くの人にとって、

未知のものであり、縁遠いものですが、

そうなったのも、まだ数十年も経っていない事。

 

なぜそうなってしまったのかを知る、

一助ともなる一冊でしたし、

私にとっては自身の仕事の原点を知る、

面白い一冊にもなりました。

 

 

日本の養蚕業の復活は未知数ですが、

こうして伝統産業を知ることが未来を創るきっかけになることを、

心から願っております。

 

  • 記事一覧

カテゴリー / Category

アーカイブ / Archive

和のお稽古 / Lesson

お知らせ / Information

→ お知らせ一覧

↑PAGE TOP