自身の仕事の原点を知る事。「蚕 絹糸を吐く虫と日本人」
子どもたちとの週末の楽しみ、
「図書館通い」。
今年も引き続き楽しみながら、
心の向く一冊を読んでいます。
2022年の一冊目はこちら。
蚕 絹糸を吐く虫と日本人 畑中章宏 著
日本における養蚕や生糸貿易産業、
それにまつわる民俗学をまとめた一冊。
大変読み応えのある一冊でした。
製糸業、養蚕業、生糸貿易は、
日本の明治維新を支えた当時の基幹産業のひとつで、
最初は欧州と比べて品質に劣る生糸を、
たゆまぬ努力により最高品質まで至り、
それによって、当時の日本人の生活水準は、
格段に上がっているとされています。
私も8年前に当時の一大産地である伊那谷~岡谷に行き、
その歴史や現状を勉強してきました。
《その時のブログ》
この一冊の帯にも書いてありますが、
「明治から昭和の初めまでの短いあいだ、
蚕と日本人の関係は驚くほど濃密なものだった。
日本の歴史のうえで、
この様な関係を取り結んだ生きものはほかになく、
似たような産業もほかに例がない。」
との通り、
古くから日本の風土に馴染み、
また民俗や風俗、信仰に至るまで、
深く根付いた「養蚕」というものが、
一気に大花となり開花し、
またその大花が一気に収束していく様は、
ある種、異様の様にも思います。
お客さまとの会話の中でも、
「うちの実家は長野県で、小さい頃は屋根裏でお蚕さんを飼っていた。」
という事は、時々耳にします。
それも決してご高齢の方ではなく、50~60代の方からも、
そのようなお声を聴くという事は、決して「昔」という訳ではない様に思います。
今やその蚕糸業は見る影もなく、
現代に生きる多くの人にとって、
未知のものであり、縁遠いものですが、
そうなったのも、まだ数十年も経っていない事。
なぜそうなってしまったのかを知る、
一助ともなる一冊でしたし、
私にとっては自身の仕事の原点を知る、
面白い一冊にもなりました。
日本の養蚕業の復活は未知数ですが、
こうして伝統産業を知ることが未来を創るきっかけになることを、
心から願っております。
- 2024.10.01 2024年10月の定休日・和のコト教室(着付・茶道)開催日のご案内。
- 2024.09.30 10/11(金)-14(祝) 型絵染 岡田その子展 開催します。
- 2024.09.27 10月5日(土)・6日(日)「大門フェス2024 第2回大門子ども商店街」に出店をします。(5日(土)は実店舗休業となります)