袷と単衣、夏衣の間。
今日の名古屋は、抜ける様な青空。
昨晩、寝ているうちに大雨が降ったようで、
その影響もあってか、昨日の蒸し暑さが一段落ついた、
爽やかな風が吹き抜ける一日になりました。
とはいえ、昨日の名古屋の最高気温は30℃。
湿度の高さも相まった蒸し暑さは、
着物を着ているには何かと辛い一日だったのではと、
自身も着物を着て、汗をかきながら感じていました。
そんな中、
昨日お越しになられたお客様は、
羽織こそ黒の紗羽織でしたがビシッと袷の着物をお召しになり、
汗をかいている様子も見せず、とてもスマートに着こなしておられました。
(ちなみに80歳近いご婦人)
本来のきもの暦でいえば、5月はまだ袷の季節であり、
その方がお召になられているものがルールとしては正しいのですが、
私が想うそのご婦人の素晴らしさは、
ルールを知った上で、自身の事だけでなく他者の事も慮った装いをされている、
その御心かと思っています。
「暑いから涼しいものを着る。」
「ルールは守らなくていけない。」
「ルールなんか関係なく、自分の好きにしたらいい。」
といった、一極的な考えに囚われず、
そのすべてを理解した上で、自身が心身ともにもっとも快適で、
着物を楽しめる装いをする事が何よりも大切な事なのではと、
その方の姿を拝見しながら勉強をさせて頂きました。
そんな事を感じた、今日の私の装いは、
単衣の米沢御召と博多織の角帯。
今日ぐらいの涼しさと、風の強さがあるときは、
しっかりとした生地感のものの方が着やすいのが、私なりの感覚。
そして、単衣は今の季節のマストだと思っています。
自分自身にとって、
ルールを守る事が一番であれば、それが良し。
ルールを守る事より、
快適さを追求したければ、それも良し。
最近は、着物警察という訳のわからない言葉がありますが、
自分自身にも、そして他者にも寛容な心を持ち、
無理せず、自分らしく装うアイテムとして、
皆さまにとって着物がもっと身近にあればと願っています。
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