絞りの魅力・絞りの底力をお楽しみ頂けます様に。「藤井絞 綿麻 吹き寄せ柄」
先週末、名古屋市緑区にある「有松」では有松絞祭りが開催され、
例年以上の観光客に恵まれていたと、ご来店のお客様から伝え聞きました。
こうしたイベントを通して、絞りという染色技法が注目され、
難しい事抜きに、「絞りって素敵!」と思われる方が一人でも増え、
その中から実際に手に取る方が増えてたら、
地元名古屋に住み、着物屋をする一人として何よりも嬉しいことですし、
そうした動きや盛り上がりが、
現在、市場に出回っている絞り製品の大多数を占める、
海外の工場で絞り工程を経た商品から、
再度、国内での職人の育成~生産へと少しずつ繋がっていけば、
絞り業界にとっても、着物業界にとっても、
そして何より、ユーザーにとっても嬉しいことではないかと、私は思います。
私が想う「絞りの魅力」は、
「素朴さを感じさせる手仕事の暖かみ。」
です。
友禅染が発明されるより昔、
何とか一反の生地に多色染をしたいという当時の職人さんたちの願いが、
手仕事の暖かみやその物の力に繋がり、
友禅染や蝋纈染にはない、柄輪郭の際の色滲みが、
絞り独自の素朴さを感じさせてくれます。
今日ご紹介する一品は、
そんな「絞りの魅力」や「絞りの底力」を存分に味わって頂ける一品。
夏の季節にこそ映える色柄を、一反の絞りと共にお楽しみ下さい。
藤井絞 吹き寄せ柄 綿麻着物
京絞りの名店「藤井絞」さんが手掛けた、
吹き寄せ柄を絞りで表現した一品です。
二月の夏物選品会の時に、
藤井絞さんの展示会場に入り、
ざっと拝見したらこの一反を一目で気に入ってしまい、
その時、藤井絞りの社長さんが、
「美濃幸さん、良いのを取りましたね!」
と仰って下さったことを、今でもよく覚えています。
この一品はご覧のとおり、
絞って染めない箇所、いわゆる「白場」が多く、
また、同じ模様の繰り返しと言えども一反12メートル全て手仕事で絞るので、
相当の苦労があるのだと想像できます。
吹き寄せ柄の雰囲気が一層優しく見えるのは、絞りのおかげ。
露芝柄の部分が反物を縦横に渡り、それが草花柄を繋ぎあって、
印象的な仕上がりになっています。
こうした構図の斬新さや美しさ、そして配色の美しさが、
藤井絞さんの大きな魅力。
絞りという千年以上も前からある技法を、今の時代に合わせて活用し、
心打つ一品を創り上げる、藤井絞さんの物創りの力を感じます。
合わせる帯は色々と楽しめ、
そのコーディネート紹介は後日のコラムにて。
どうぞ楽しみにお待ち下さいませ。
《掲載商品詳細》
藤井絞 綿麻着物「吹き寄せ」(綿50%・麻50%) 150,000円(税別・反物価格)
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