和をたしなむ

2025.03.27更新 - 女将の着姿

節目をともに迎える母親の着物姿を。「卒業式母親きものコーディネイト」

 

過日、息子が6年間お世話になった小学校を卒業しました。

 

 

商売柄、家族全員和装での出席となりましたので、

一人一人の装いをご紹介したいと思います。

 

 

 

一昨日にご紹介をしました息子の着姿に続いて、

もう一人の主役の奥さま。

 

詳しくはこちら

きもの屋の小学校卒業式での装い「卒業生息子編」

 

 

 

彼女の装いは、基本私が決めています。

 

決して亭主関白な訳ではなく、

 

「何を着たら良いか決めといて〜」

 

と言われる私の家庭内ポジションがなせる訳でして、

それほど手持ちのない卒業式に向く着物や帯を仕舞っている箪笥の引き出しを開けて、

この時に相応しいと思えるコーディネートとして選んだものはこちらです。

 

 

 

 

彼女と結婚をする際、

結納のお祝いとして私の母(大女将)が妻のために初めて見立てた

波紋を染め上げた総柄訪問着と、洛風林さんの袋帯にしました。

 

 

 

訪問着は妻がよく似合い、

また「桜咲く」卒業式にもってこいな、

桜色に細かな波紋を糸目で染め上げたもの。

 

 

前身頃と衿、袖には、

絵羽付けとして金駒刺繍や金彩が施されており、

母親として一歩控えつつも式典に向く豪華さと品格を兼ね備えた一着です。

 

 

 

 

結婚した時なので、

もう10年以上経った一着なのですが、

昨今、これだけすっきりとしていながらも、

訪問着品格を兼ね備えた一着は見かけることがなく、

これを見立てた大女将の眼力にはただただ感服と感謝につきます。

 

 

花柄や風景柄、道長の様な具象的な柄ではないですが、

それに決して引けを取らない豪華さと品格があり、

かつ、色無地の様な潔さも持ち合わせた仕上がりは、

なかなかのものだと実感しています。

 

 

 

 

それに合わせた袋帯も、

大女将が見立てた洛風林さんの一本。

 

 

 

 

清涼感ある白経の帯地の上に唐花があり、

その周りに飛ぶ鳥たちが織り上げられたもの。

 

 

飛翔する鳥の柄も卒業式の様な門出に相応しい織り柄であることと、

また洋装がほとんどの現代の卒業式においても馴染みやすい、

洋のエッセンスを感じる織り色となっています。

 

 

袋帯ならではの豪華さとともに、

すっきりとしたお太鼓姿が私もお気に入りな一本です。

 

 

 

卒業式はあくまでも子どもたちが主役。

 

 

親はどこまでも引き立て役であるという認識でおりますが、

それでも子どもと共に過ごした確かな6年間の歩みは、

家族にとってかけがえのないものであり、

 

その気持ちを持ち、表す晴れやかな着物姿で迎えることは、

子どもにとっても親にとっても大切な事であると考えています。

 

 

 

 

厳かな気持ちを表す装いと、自分らしさを表す装い。

 

 

難しさも伴いますが、

フォーマルきものの楽しさはそこにあると思います。

 

 

 

 

明日は最後、私の着姿をご紹介!

 

 

いつもと変わらぬ装いかもしれませんが、

引き続きご覧くださいませ。

 

 

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