和をたしなむ

2025.12.26更新 - コート・羽織

着姿にもう一色加える、上着の重要性と美しさを感じる一着を。「羽尺(羽織・コート生地)「貝合わせ花紋入り 市松模様」」

 

今週は絵羽物を中心にご紹介をしております。

 

 

絵羽物と言えば、訪問着や振袖などが代表で、

 

着物生地全体をキャンバスの様に、

肩から袖、前身頃から後身頃へと柄を付けていく絵羽模様のものや、

仮縫いをした絵羽縫いをされたものの事を指しますが、

 

今日ご紹介をします一品は、

その定義からからは少し外れますが、

ひとつひとつの模様が美しく仮縫いの上に施された、

羽尺生地になります。

 

 

 

 

羽尺(羽織・コート生地)「貝合わせ花紋入り 市松模様」

 

 

市松模様に織り上げた生地を柔らかな黒色に染め上げて、

背と左胸に「蛤」を象った手刺繍の花紋を施した羽尺生地(羽織・コート生地)です。

 

 

 

羽尺生地とは、

 

羽織用に織った生地の事を言い、

長着用に織った着尺生地と対になるような言葉になります。

 

 

着物での外出は長着の上に上着を羽織ることがマナーとされ、

長着と同じように、袷から単衣、夏衣と生地や仕立て方を変えて、

年中、羽織の様な上着を着て外出をしていました。

 

 

洋装で言うところのジャケットと同じで、

そのマナーは今は男性には残っていますが、

女性に関して言えば、何も羽織らずに外出するのも普通となっています。

 

 

昔は外出というと自身を足を使っての事が多く、

道中、まわりの目に触れ、また汚れの心配もある事から、

一着上着を羽織ることが当たり前だったようですが、

 

最近は車などでのドアツードアでの移動が当たり前となり、

また温暖化する気候の変化もあって、

常々から着物をお召しになられている方でも、

羽織は羽織っていない姿が一般的となっています。

 

 

ただ、着姿の事を考えると、

羽織が着姿や全体のコーディネートにかかるウエイトは相当あり、

一着、着回しが出来る様な羽織が手元にあるだけで、

より一層上質な着姿や着物コーディネートを楽しんで頂ける事は間違いなし。

 

 

一品の説明の前の前段が長くなりましたが、

今日の一品も含めて、2026年は羽織のコーディネートも、

重点的にお知らせしていきたいと思っております!

 

 

 

 

さて、本題に戻りまして、

 

仮絵羽に仕立ててありますが、

ご覧の通り絵羽柄に柄付けはなされていない一着。

 

生地の地模様はありますが、

他の模様と言えば、背と左胸に刺繍の花紋が施されているだけとなります。

 

 

 

 

花紋の様な大きく背と左胸に入れられた刺繍は「貝合わせ」の模様。

 

 

貝合わせ(合わせ貝)は蛤を描いたもので、

対の貝しか合わない事から平安時代から貝合わせという遊びが流行り、

その貝の内側には華やかな装飾が施されたことや、

対しか合わない事からご縁を繋ぐ縁起の良い模様のひとつとして、

古くから愛されてきた文様のひとつになります。

 

 

 

その貝合わせ美しさを、手刺繍で縫い上げたのがこちらの一品。

 

 

 

背紋の方は二つの貝と波紋をあしらい、

貝の中にはそれぞれ松竹梅と梅に露芝、紅葉の吹寄せ柄が縫い上がっております。

 

 

 

 

波紋は金糸で縫い上げてあり、

とても豪華な雰囲気となっております。

 

 

 

左胸に入る刺繍は桜と藤をあしらってあります。

 

 

 

 

こちらは背紋と比べると少し控えめ。

 

着姿からすれば、胸元にワンポイントが入る無地感覚の様になります。

 

 

 

背紋と同様に輪郭は金糸で縫い上げてあり、

ひとつだけですが豪華さと品格を感じさせてくれる仕上がりとなっています。

 

 

 

そして、こちらの生地は大きな格子柄を織り上げた生地で、

礼装にもカジュアルにもどちらにも向く生地を使用してあります。

 

 

 

 

二越の生地でもっちりと少しシボが立った生地感となっており、

羽織やコートにされても長着の雰囲気を活かす品の良さがあります。

 

 

ちなみに、こちらの白生地は現在は生産がされていません。

 

 

書きました通り生地感も良く、

そして何より着心地も大変良く、発色も良い生地という事もあり、

当店で長く愛されてきた生地で、

 

本当に多くのお客様にご着用いただき、

また女将も若女将も、色無地として誂えているほど、

美濃幸を代表する無地に向く生地だったのですが、

 

白生地を織られる機屋さんの縮小にともない、

当店でこの生地を使った商品の扱いは、

こちらの羽尺一点となりました。

 

 

 

良いものが段々と目の前から消えていく喪失感がありますが、

今目の前に在るものを大切にしていく気持ちもあり、

 

こちらの一品もその様な気持ちとともに、

お心に留まる皆さまにお届けする事が叶えば、

作って下さっていた方にも喜んで頂けるのではと思っております。

 

 

 

実際に着装をしてみたイメージも撮影してみました。

 

 

 

 

仮仕立ての状態なので、

衿の抜き具合などはご容赦いただくとして、

実際の花紋の大きさが分かっていただける事と思います。

 

 

ご覧の通り背紋は存在感ある大きさと雰囲気があります。

 

 

 

 

左胸紋はそれに対してあっさりとした印象に。

 

 

背の方は上着という事もあり、また黒地一色という事もあり、

ある程度存在感のある大きさと色糸が選ばれており、

 

左胸の方は皆さまのお顔がありますので、

少し控えめにしてあります。

 

 

そして、ともに使われている縫い糸の色選びに品があり、豪華さと存在感はありつつも、

それだけが主張をし過ぎない和装ならではの品の良さが備わっております。

 

 

 

刺繍の様子から色無地や訪問着に上にお召しいただくコートとしても向きますし、

反面シンプルな仕上がりから小紋や紬の上にお召しいただく羽織としても向く、

本当に重宝で着回しが効き、着姿を一層際立たせてくれる一着です。

 

 

 

初春に向けて、お気に入りの上物とともに、

いつもの着姿にもう一色加える、素敵なコーディネートをお楽しみくださいませ。

 

 

 

《掲載商品のご購入はこちら》

※商品名と写真をクリックしていただくとオンラインショップに移行します。

 

 

羽尺(羽織・コート生地)「貝合わせ花紋入り 市松模様」

220,000円(税込・反物価格)

 

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