和をたしなむ

2024.05.30更新 - コーディネート紹介

季節感ときもの暦のあいだにあるもの。「袷時期の紋紗羽織コーディネート」

 

随時ご紹介をしております、

お客様の着姿ご紹介。

 

 

今日ご紹介します着姿は、

昨年秋頃の着姿だったのですが、

今時分にもしっくりとくるコーディネートであり、

また時期的にも袷と単衣の間頃のことなので、

改めてご紹介をさせて頂く事にしました。

 

 

「袷時期の紋紗羽織コーディネート」

 

どうぞご覧下さいませ。

 

 

 

 

グレイッシュの濃淡を染め分けた、

紋紗生地の羽織と、

 

単衣頃に心地好い色目の飛び柄小紋に、

染めの九寸帯を合わせたコーディネートです。

 

 

 

 

 

この着姿を拝見させて頂いたのは、11月。

 

きもの暦としては袷の季節だったことのあり、

お客様からは、

 

「未だに羽織っているけど、大丈夫かな?」

 

とのお声。

 

 

確かに、季節的には袷の羽織をお召しになるのが、

きもの暦的には正解な訳です。

 

 

紗羽織といえば、

単衣から夏衣に掛けて楽しむもの。

 

10月頃ならまだしも、

11月になり季節はとうに過ぎているのに、

未だに着ていて良いものなのかと、

流石に不安になったとの事でした。

 

 

そのお客様にお伝えした、私の意見は明確!

 

「今の様な気候だからこそ、大いにお楽しみ下さい。」

 

 

そう、

 

温暖化が叫ばれて十年近く。

 

 

最近の気候は明らかにそれまでとは違い、

5月には汗ばむ陽気となり、

10月を過ぎても半袖が心地好い、

そんな気候が当たり前になっています。

 

 

きもの暦で言えば、

5月と10月は袷の季節。

 

こちらのお客様が羽織られた紋紗羽織の季節感と言えば、

6月から8月までというところでしょうが、

 

気候が変わった今だからこそ、

この紋紗羽織の本領が発揮される!

 

そんな想いで、

こちらのお客様に限らずご縁のあったお客様には、

紋紗羽織をお勧めしております。

 

 

 

 

更にその着心地をお聞きすれば、

 

「これ以外に考えられないほど快適!」

 

との事。

 

これが全ての答えの様に思いますし、

その心から感じる体感やお気持ちこそ、

着物を「今の時代」に楽しむ事に、

欠かせないことだと思っています。

 

 

 

 

こちらでも何度か書いていますが、

そうした想いはあくまでも、

個人のお洒落のうちに於いての事。

 

相手があり、ドレスコードを守る事で礼節を尽くす礼装事に関しては、

TPOや相手の気持ちに配慮した着物姿があって然るべきですが、

 

そうした礼装事に於いても、

少しずつ時代や気候に合わせて、

変わっていく事が自然の様にも思えます。

 

 

 

紋紗羽織の下には、

袷の小紋をお召しになり、

帯は秋桜を染め上げた九寸帯。

 

柔らかな小紋の色目と、

グレイッシュな羽織と帯の色目が調和し、

とても秋らしいコーディネートに、

仕上がっていました。

 

 

 

季節感ときもの暦の間には、

「着手の想い」と「自分らしさ」があります。

 

 

それを大切にしながら、

今の時代に合った着物の楽しみ方を、

お伝えできればと思っています。

 

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